イスラエルのジュディアン・ヒルズでエラン・ピックMWが造るツォラ・ヴィンヤーズ

イスラエルの中心部にあるワイン産地ジュディアンヒルズの4生産者が「ジュディアンヒルズ・カルテッド」(P.77参照)を組織し、ともに来日した。中でも注目度の高いツォラ・ヴィンヤーズのワインメーカーを務めるエラン・ピックMWに話を聞いた。

 

自由度の高いイスラエルワイン

イスラエルのワイン産地は現在5つあり、そのうち北部のゴランハイツ、ガレリ、そして中央部のジュディアンヒルズが名声を得ている。どこも標高が高い場所にあるが、ゴランハイツは火山性土壌、ガレリがテラ・ロッサと火山性土壌、ジュディアンヒルズが石灰岩とテラ・ロッサと、土壌が異なる。

現在栽培されているブドウ品種はフランス系が多いが、ブレンドの組み合わせはフランス式ではない。シャルドネとソーヴィニヨンの白があるかと思えば、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの赤がある。後者はツォラ・ヴィンヤーズが先駆けで「規則がないから自由にブレンドできる」という。

 

テンションの高いワイン

 ツォラ・ヴィンヤーズの赤用品種の栽培比率はシラー35%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、メルロ15%、プティ・ヴェルド20%という構成だ。「気候が南仏と似ているのでムールヴェードルも植えたが、よい結果が得られず引き抜いた。最近(ヴァルポリチェッラの)マァジからオゼレータを送ってもらい植樹したところ。スパイシーさや酸があり快活さを与えるのによいと考えてのことだったが、予想より酸とタンニンが強く粗々しさが出てしまったので、もう少しソフトにしたい。数年かかるだろう」。既に高評価を得ているが、現状に止まる気はまったくない。

白については、より涼しい場所を選んでシャルドネとソーヴィニヨンを1区画ずつ植樹した。上級キュヴェのソーヴィニヨン100%の「ショーレッシュ・ブラン」は、いわばバレル・セレクションだ。

栽培で重要なのは、白用ブドウを直射日光から守ることだという。8月に気温が30℃まで上がり、粒内の温度が15〜17℃より高くなってしまうと、アロマが変わる。「トロピカルなフレーバーやカラメル化させたくない。ライムのアロマを得るためにキャノピーを工夫している」。2010年から、30%遮光できるネットを使用しているという。赤用品種の場合には、いくらか直射日光も必要で白ほどの繊細さはないから、ネットではなく葉を残すことで対応している。例えばシラーはプロテクトしないとミーティーな香りになり、好みのロタンドンがなくなってしまう。

また、複雑性を出すために複数の樽も使用しているが、例えばシラーで3〜5種類のクローンを、ソーヴィニヨンも3種類のクローンを植樹している。

2008年から、シャトー・ペトリュスを務め上げたジャン・クロード・ベルーエ氏がコンサルタントだ。「タンニンはソフトであるべきだ」という哲学を学んだという。ホールベリーで醗酵し、温度は27〜28℃まで、マセレーションは短くソフトに行なっている。

もともと高地を選んでのブドウ栽培だが、話の端々で感じるのは、テンションやフレッシュ感を重要視していることで、それは仕上がったワインにも感じられた。(Y. Nagoshi)

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