ポルトガル南東部アレンテージョのスター エスポラン初来日

エスポランは1973年からの家族経営のワイナリーで、ポルトガル南東部のアレンテージョにある。「暑い気候だが偉大なワインができる産地だ、という信念をもち取り組んでいる」と、オーストラリア人で元フライングワインメーカーの醸造長デヴィッド・ベイバーストックはいう。所有する敷地は2,200haあり、ブドウ畑が650ha超。その他に契約農家の700haからは日常用のワインを造っている。現在CEOを務めるジョアン・ロケットは2代目で、アレンテージョに加え2008年にドウロのキンタ・ドス・ムルサスも購入した。

大西洋からの涼しい風が入ってくるため、ポルトガルでは南でも優れたワインが造れる。この風の影響を受けないスぺインの同じ緯度の地域では難しい。200種類の品種を栽培しているが、そのうち30種類だけを使い、他は実験栽培だ。樹齢40年の古木もある。トウリガ・ナショナルとベルデーリョを最も古くから栽培している。伝統的なブドウで、モダンなアプローチでワインを造っている。

極少量のプレミアムワインのためのボデガ・ドス・ラガレスを3年ほど前に建て、2015と2016のプライヴェートセレクションはここで造った。足でプレスするための大理石のオープンバッド(表面積が広いので効率的なマセレーションとソフトなプレスができる)、卵型のセメントタンク(醗酵も貯蔵もし、マイクロオキシデーションも可能で温度も一定)、アンフォラ(ローマ時代から使われていたため、アレンテージョはアンフォラを使用してもDOCにできる)がある。今後アンフォラのワインを増やしていきたい考えだ。

もともと暑い地域なので、気候変動への対策はとても真剣に考えている。土中の水分を計り適度にイリゲーションを行うことで過度なストレスを緩和する。さもなければ枯死してしまう。また、熱波がくる前に粘土剤を葉にスプレーすることで熱対策をする。これは、日焼けのリスクや熱から守り光合成作用も促進できる上、虫は水々しく若い葉を好むため害虫対策もできるとわかった。

188種類の品種について少量ずつ醸造しながら統計をとり、ポルトガルの多様な品種を守るという使命も担っている。何10年か必要だろうが、暑い夏にどのような品種が適切なのか、白ならアロマが損なわれない、赤ならタンニンは得られるがアルコールが上がりすぎない、などの研究を始めたところだ。

Monte Velho Red 2016 契約畑+一部自社畑。アラゴネス、トリンカデイラ、トウリガ・ナショナル、シラー。ステンレスのみ。フレッシュな果実の香りが広がり、厚み、ボリュームもあるが酸もフレッシュでタンニンもかっちりとして、飲みごたえも。

Esporan Reserva Red 2014 創立当初からの銘柄。自社畑のみ。アラゴネスとトリンカデイラ主体+カベルネ・ソーヴィニヨン、アリカンテ・ブーシェ。ジューシーで赤や黒のベリー、バニラ、スパイス、香ばしさなどがしっかりと香る。厚みがありストラクチャーもしっかり。味わいも凝縮している。

Esporan Private Selection Red 2012 館近くの畑。アリカンテ・ブーシェ、アラゴネス、シラー。造らない年もある。とても濃い色。閉じた香りで、ブラムなどの黒い果実、スパイス、少しスミレやミントも感じる。たっぷりとして、食感はなめらかだが、がっちりとした豊かなタンニンも。いずれも価格のバリューが高いと感じた。   (Y. Nagoshi)

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