ぺぺ・ラベントスが コンカ・デル・リウ・アノイアを語る

DOカバを離脱し、新しいデノミナシオン「コンカ・デル・リウ・アノイア(アノイア川流域)」の創設を目指すペネデスの古参生産者ラベントス・イ・ブラン。その21 代目ぺぺ・ラベントスがこのほど来日し、アノイア川流域の特徴とカバ再生への思いを語った。

 

ラベントス家・中興の祖ともいえるジョセップ・マリア・ラベントス・イ・ブラン(ペペの祖父)がファミリーと袂を分かち、1986年3月4日にラベントス・イ・ブランを創設した。ところがその1 週間後、訪問先のニュージーランドで急逝した。マヌエル・ラベントス(ペペの父)が跡を継ぎ、今日の隆盛の基礎をつくった。そして2001 年にペペがボデガに加わる。ペペはプイィ・フュメのディディエ・ダグノーやシャンパーニュ(ディジー村)のガストン・シケなどで修業を積んだ。そして祖父が創設にかかわったDO カバを2012 年に離脱する決断をする。「大量生産に走り品質を蔑にしている」というのが離脱の理由だ。そしてコンカ・デル・リウ・アノイア創設という対案を提示した。

 

コンカ・デル・リウ・アノイアの製造条件は次のとおり。①アノイア川流域のブドウを使う、②自社醸造・自社瓶詰、③自社ブドウを80%以上使用、④在来種だけをつかう、⑤ブドウ栽培はビオディナミ農法、⑥ボトル熟成18か月以上、⑦リザーヴワインを使わない。当該ヴィンテージだけ。

この条件は、ピノ・ノワールやシャルドネなど外来種を使えないこと、ビオディナミ農法へのこだわりなど排他的な部分もあるが、その他はスパークリングワインの品質を維持する上で至極もっともにみえる。

 

ペペは主張する。

「コンカ・デル・リウ・アノイアという原産地呼称を多くの人に認めてもらうのは簡単なことではない。しかしアノイア川流域はスパークリングワイン製造に本当に適した土地である。たとえばシャンパーニュが成功しているのはマーケティングの勝利であって最良の土地で造っているからではない。シャンパーニュのブドウ価格はとても高いがそれは高品質だからではない。ブドウ樹はジョージアで生まれ、地中海沿岸の気候に適合した。北部の寒い地域に合ったのではない。アノイア川流域は太古の時代に海底が隆起してできた。だから土壌にはたくさんの石灰質が含まれている」。

 

カバ・デ・パラヘ・カリフィカドはDOカバのイメージ改善と品質向上に繋がるのではないか、という質問にペペは答えた。

「もはや遅きに失していると思う。仮にDOカバをスペイン全土で造るスパークリングワインの総称にして、その上に個々の地域のスパークリングワインを配置した品質ピラミッドを創るのなら改善の余地はあるだろう。それにパラへ・カリフィカードは生産量が少なすぎる、年間生産量が数十万本、数百万本の巨大なボデガが、(大量の安いカバを売りながら)ほんの少しのパラへを造ったところで、それがDO カバのイメージ向上に寄与するとは決して思えない。パラへはマーケティングのためのツールだ」と、にべもなかった。(K.Bansho)

 

続きはWANDS2018年6月号をご覧ください。
WANDS2018年6月号は「夏のスパークリングワイン」「ブルゴーニュワイン」「ビール」特集です。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る