Le Printemps des Champagnes 実力派RM生産者が大集合 春にきらめくシャンパーニュ週間

瓶詰め前の新酒やリリース直前のワインの試飲会が、フランス各地で開催される4月。シャンパーニュ地方ではレコルタン・マニピュラン(RM、個人生産者)の試飲イベントが一週間にわたって盛り上がりをみせる。約10年前から始まった生産者らによる自発的な動きであり、シャンパーニュだけでなく、泡が生成される前の原酒も試飲することができる。この年々注目度の高まる「シャンパーニュの春」の一週間を取材した。

■テロワールを反映するシャンパーニュ

志をともにする個人生産者グループが、この数年シャンパーニュ地方で続々と発足し、自発的な試飲会を開催している。そして瞬く間に注目の場に急成長し、開催される4月半ばの一週間は、ランスやエペルネに世界中から輸入業者やカーヴィスト、レストラン関係者、ジャーナリストらが集結するようになった。

そのきっかけとなったのは、2009年に17生産者でスタートした「テール・エ・ヴァン・ド・シャンパーニュ」の試飲会だ。当初はこの1グループによる1日だけのイベントだったが、その成功の影響を受けて、2011年には「レ・ザルティザン・デュ・シャンパーニュ」、2012年には「トレ・デュニオン」や「レ・マン・デュ・テロワール」などが発足。その後も若手RM生産者を中心に数々のグループができ上がった。そして現在は約20の団体が、それぞれ異なるテーマで試飲会を開催するようになり、4月半ばの時期は「シャンパーニュ週間」や「シャンパーニュの春」と呼ばれるようになった。

たとえ異なるグループであっても、これらRM生産者の根底にある思いは、共通する点がある。それは「シャンパーニュ地方で生まれるワインがシャンパーニュであり、ワインのようにテロワールが色濃く反映する」という信条だ。そしてシャンパーニュの元となるワインが生まれる土壌の多様性を語ることで、出来上がるシャンパーニュの個性を伝えようと、こうした試飲会の形となった。

シャンパーニュ地方で4月といえば、前年の収穫で醸造した原酒をブレンドし、瓶内二次発酵に向けて瓶詰めするタイミング。プリムールのように、その瓶詰め前の原酒を試飲してもらうことも可能だ。またプリムールといえば、一般的にボルドーで「むずかしい年」だといわれると、フランス全土が「むずかしい年」であるかのように思われてしまいがちだ。個別に試飲会を行うことによって、そのような収穫年の誤解も解くことができる。こうした生産者の意図は、徐々に輸入業者やカーヴィスト、レストラン関係者にも理解され、世界中から支持を得るようになった。

 

■Terres et Vins de Champagne
テール・エ・ヴァン・ド・シャンパーニュ

ラファエル・ベレッシュとオーレリアン・ラエルトが発起人となり、シャンパーニュ地方の異なる村や地域の17生産者とともに2008年に結成し、2009年に試飲会を開始した。今年はちょうどその節目の10周年。「テール・エ・ヴァン」生産者のよきサポーターであるランスの3つ星レストラン「ラシエット・シャンプノワーズ」で盛大な前夜祭も開催された。

09年当初は一日130人程度の来場者数であったが、5年後にはその3倍以上に、そして現在は約5倍の登録があり、試飲会は午前と午後の2回に分けて行うほどの人気ぶりだ。試飲会当日の4月16日、会場となったランス大聖堂横のトー宮殿は、真剣なまなざしと熱気にあふれていた。(Tomoko INOUE)

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