料理とのペアリングを体験する ダックホーンセミナー

ベルナルディ氏(右)と小枝氏

カリフォルニア、ダックホーン社から醸造担当副社長ニール・ベルナルディ氏が初来日したのに合わせ、輸入元の中川ワインがワインとフード・マリアージュのセミナーを開催。フード&ワインスペシャリストの小枝絵麻氏が提案するペアリングを楽しみながら、ダックホーン傘下ワインのポテンシャルと魅力を体感した。

ダックホーンは1976年、ナパ・ヴァレー・セントヘレナの北にダン&マーガレット・ダックホーン夫妻によって設立された。今ではナパにとどまらずカリフォルニア各地やワシントン州にまたがって個性ある6ワイナリーを運営。畑の個性や味わいを表現する為にワイナリーごとに醸造家を置き、全体をベルナルディ氏が統括している。

 

ペアリングに供されたシーフードサラダと、丸い皿のふちに配置された様々なブリッジ素材

ペアリングに供されたシーフードサラダと、丸い皿のふちに配置された様々なブリッジ素材

一方、小枝氏はカリフォルニアワインと料理を幅広くペアリングさせる独自の方程式を考案した。それは、①食材+②調理法+③味付け=④ワインと⑤ブリッジ食材というもので、①から③までをライト、ミディアム、フルの三段階に分け、ライトは1、ミディアム2、フルは3点とする。

例えば、①食材の中で野菜、白身魚、鶏胸肉などはライト、フルは豚バラ、霜降り肉、レバーなど。②調理法では生、蒸す、茹でるといった方法はライト、煮込、炭火焼、フライなどはフルに。③味付けでは、ライトは塩、出汁、ハーブなどが該当し、濃口醤油、デミグラスソースなどはフル、といった具合だ。

このチャートに則って①から③までの点数を合計する。合計が3~4点の軽めの料理に合わせるワインは、泡、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ。5~7点はシャルドネ、ピノ・ノワール。8~9点の重めの料理にはジンファンデル、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンとなる。

⑤のブリッジ食材はワインと料理との橋渡しの役割を担っており、ブリッジ食材によって料理とワインとの相性も変わってくる。

試飲に供されたダックホーンのワイン

試飲に供されたダックホーンのワイン

デコイ ソーヴィニヨン・ブラン ソノマ 2016
シトラス、甘い果実、ハーブ。グラッシーさは控え目。酸がしっかりと残り、クラシックなライトボディ。このワインに合わされたシーフードサラダは、魚介と野菜+生+苺ドレッシングなので3点。料理と合わせると酸が柔らかくなり膨らみが出てくる。同じ柑橘系でも青柚子を加えると甘みが出るが、レモンだと酸が勝ってしまうようだ。

マイグレーション シャルドネ ラシアン・リヴァー・ヴァレー 2014
海に近く冷涼な地。ゴールドリッジ砂質ローム土壌で育ったシャルドネの90%をフランス産の樽で発酵・熟成10か月。ドライで、きれいな酸と樽のニュアンス、ヴォリュームがある。料理のブランダードは鱈とジャガイモ+牛乳で5点。シャルドネと合うはずだが、ワインが生臭く感じた。また、単体ではおいしい料理だが、樽のきいたワインには物足りない。そこで、刻んだアーモンドを足すと料理の食感がクリスピーになり、ワインの樽香が和らぎフルーツ香が出てきた。更に柚子はワインを爽やかにし、料理もシャキッとなる。

ゴールデンアイ ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー 2015
昼夜の寒暖差が大きいアンダーソン・ヴァレーで育ったブドウを使い、フランス産の樽(新樽55%)で16か月熟成。チェリーやブラックベリーなどの果実味が豊か。合わせる料理は、豚+ロースト+黒ニンニクペーストで7点。塩を少し加えるとワインが締まる。揚げたセージはワインに重さを、マスタードの酸味は果実味を引き立たせた。

キャンバスバック カベルネ・ソーヴィニヨン レッド・マウンテン 2014
ワシントン州レッド・マウンテンAVAで育まれたカベルネ・ソーヴィニヨンをフランス産の樽(新樽40%)で18か月熟成。ブラックベリーやプラム、キャラメルやスパイスのニュアンス、凝縮感豊かなワイン。料理は鴨のローストに肝ソースで6~7点。肝ソースのせいか、そのままでは渋さが際立ったが、塩と山椒を加えるとまろやかになった。

パラダックス プロプライエタリー レッド・ワイン ナパ・ヴァレー 2015
カベルネ・ソーヴィニヨン54%、メルロ19%、ジンファンデル16%、プティ・ヴェルド11%のブレンド。フランス産の樽で18か月熟成。黒い果実、シナモン、バニラ、ペッパー、滑らかなタンニン。合わせるハンバーガーは、8~9点。バルサミコを加えるとワインに甘みが出て、プルーンと塩と胡椒を足すと余韻が伸びる。

ダックホーン・ヴィンヤーズ メルロ ナパ・ヴァレー 2013
フランス産の樽で15か月熟成。熟したチェリー、プラム、滑らかなタンニンとアルコールの高さ、余韻が長い。同じくハンバーガーを合わせたものの、ケチャップの甘みと酸味がワインと合わない。「ハート&ソウルをワインから取り去ってしまった」とベルナルディ氏。料理に酸味が欲しい時には、バルサミコかマスタードが良いようだ。

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