7代目最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏に聞くペリエ ジュエ ベル エポックの熟成

ペリエ ジュエの7代目最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏が「レデン 東京 バイ ペリエ ジュエ」のために来日していた。コアなファンに向けていくつかの試飲セミナーが開催された。その内のひとつ「伝統と独創的なアプローチで造り続けられるシャンパーニュの芸術品」を踏まえ、ペリエ ジュエ ベル エポックの息の長さ、熟成について聞いた。

 

<3つの大切な年号>

エルヴェ・デシャン氏は、まずおさらいとしてペリエ ジュエにとってとても大切な年について話をした。

1846年:ペリエ ジュエが甘口からブリュットへ

シャンパーニュ好きの方々なら、昔のシャンパーニュはどれもとても甘かったことをご存知だろう。その理由をエルヴェさんはこう説明した。「昔は冷蔵庫がなく、肉や魚など食材を保存するために塩をたくさん使っていた。だからシャンパーニュはとても甘かった。当時のドザージュはおよそ150〜200g/ℓ」。

「しかし、イギリスはインドを植民地にしてスパイスを輸入し始めた。それにより塩分を少なくすることができるようになったため、より辛口のシャンパーニュを求めるようになった。その要望に応えて1846年にペリエ ジュエはいち早くブリュットを造り始めた」。

 

1902年:エミール・ガレの特別な作品

ペリエ ジュエのプレステージキュヴェであるペル エポックのボトルデザインが、アール・ヌーヴォーの巨匠エミール・ガレのデザインだということも広く知られている。

「ガレは実際にペリエ ジュエを飲み、花のニュアンスを見出してアネモネ、日本の秋明菊を描いた」。

「七宝焼きの手法だが、当時アジアの七宝焼きは単色で幾何学模様だった。ところがガレは大胆にも花、葉、茎を描き七宝の手法を革新させた。また、色を重ねて自然のパステルを表現した」。

ガレが高度な手法で1902年に描いたボトルが後に発見され、そのデザインをもとにして1964年ヴィンテージのベル エポックが誕生することになった。

 

2011年:200周年を記念してレデンから古いヴィンテージを

「7年前の2011年に、ペリエ ジュエは創業200周年を迎えるにあたり ”L’Eden” レデンに大切に保管されてきたボトルをいくつか開けることにした」。

エデン、楽園を意味するこの空間には、古いヴィンテージが長い眠りについていた。特別なセラーで最高醸造責任者だけがこの扉の鍵を持ち、彼らの魂が宿る場所だ。今年第3回目となるグローバルに展開しているこのイベントは、そうして受け継がれてきた「自然への敬意、そして日常を美しく彩る哲学」をもとにペリエ ジュエを多角的に体験できる場所として「レデン バイ ペリエ ジュエ」と名づけられた。

 

<ベル エポック>

「ベル エポックと呼ばれる期間は、アーティストが自然を描き始めた時代であり、様々な技術が大いに発展した時代でもある。1899年に万博が開催されてエッフェル塔も建てられ、車が多く走り始め、パリにはメトロもつくられた」。

その古き良き時代の生き生きとしたさまを表すように、「花」のスタイルを強く打ち出したキュヴェがベル エポックで、セラーで熟成しているおよそ6年の間に複雑性が醸し出される。

このセミナーでは、まだ若き2007年とゆったりと熟成が進んだ貴重なヴィンテージ1985年が開けられて、その違いを楽しめた。

 

ベル エポック2007年

「まず花の香りがして、蜂蜜や砂糖漬けのレモンやグレープフルーツ、白桃、洋梨。そしてブリオッシュやバター、バニラといった香りが広がる。味わうと、アタックは穏やかできめ細やかな泡が感じられ、すぐにエレガンス、洗練されたベル エポックならではの性質が現れる。柑橘類は花など様々な要素が口の中で花火のようにはじける」。

「この2007年は、暑い年だった。春は早く訪れて気温が高く、例年より3週間も早く開花が始まった。8月末には収穫が始まり、特にシャルドネは日照がまだ長い時期に収穫したのでとても活気がある。今なら甲殻類と相性が良い」。

 

ベル エポック 1985年

「蜂蜜や蜜蝋、タルトタタンやコンポート、キャラメル、トーストしたブリオッシュ、焙煎したコーヒーやカカオ、レモンのコンフィ、オレンジピール、チョコレートなど複雑な香り。泡は見た目ではなくなっているが、完全に液体と融合した状態でとてもデリケイトに。まだエネルギーがあるので、鴨のフォアグラと合わせるには少し早い。今なら仔牛のフィレをグリルしてキノコのソテーを添えて。まだセラーに置いておける」。

「1985年はとても厳しい冬だった。マイナス30℃の日が30日もあり、霜の被害が多大な年だった。黒い霜、と読んでいる。樹液が凍ってしまい、特にピノ・ノワールが多く枯死してしまった。アイ村やマルイユ・シュール・アイ村はまだよかったが、モンターニュ・ド・ランスの北部に被害が多かった。しかし、この時に多くを学んだ。前任の最高醸造責任者が、ヴィンテージやこのベル エポックを造るべきかどうか熟考していたのをよく覚えている」。

今回の1985年は、1994年にデゴルジュマンして寝かせておいたもの。

 

上質なシャンパーニュは、上質なワインと同様に年とともに熟成し複雑性が増していく。その美しい成長の様子を見ることができた。もしどこかで見つけたら、古いヴィンテージのベル エポックを試してみてはいかがだろうか。保存状態が確実によいとわかるものをお薦めする。

 

<おまけの話>

エルヴェさんに聞いたプラスαのお話を、皆さんにもおすそ分け!

Q: ベル エポックに最適なグラスとは?

A: 大きめのグラスだと香りは豊かになるがあまり大きなグラスでは泡が早く抜けてしまう。今ちょうど、背が高くて綺麗な形で、しかも泡立ちがよいグラスを開発中。

Q: シャンパーニュのノン・ヴィンテージ、ヴィンテージ、どちらが先?

A: 創業当初の古文書は残っていないが、1840年からは存在している。古文書によれば、当時はリザーヴワインを加えてノン・ヴィンテージを造っていた。しかしその後、熟成の速度がもっとゆっくりなワインを造りたいと考えてヴィンテージを造り始めた。単一年のアッサンブラージュを造り取り置いておき、複雑さが出てきてからしか販売しなかった。熟度が高く酸度も高い、熟成のポテンシャルのあるワインだけを厳選した、今の形のヴィンテージを造り始めたのは1858年だった。

 

聞けば聞くほどその深さが感じられるエルヴェさんのお話は、つづきます。(photo by Yuji Komatsu / text by Y. Nagoshi)

輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

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