ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト 「花崗岩のリースリング」を新発売

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトのロッシュ(鉱物)シリーズに「グラニティック(花崗岩)」が加わった。ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトを輸入販売する日本リカーは、6月1日から5,000 円(税抜き)で販売を開始した。

 

アルザスでビオディナミ農法を実践するドメーヌ・ツィント・フンブレヒトは、テロワールをワインに十全に表現することに全力を傾けている。だから野生酵母の働きを待ち長い時間をかけてアルコール発酵をおこなう。樽から抽出される要素がブドウの個性を覆うことのないよう発酵と熟成の容器に大樽を使っている。

12 代目当主オリヴィエ・フンブレヒトは、フランス人初のマスター・オブ・ワインとしても有名だ。アルザスのAOC変更を受けて、オリヴィエはそれまで造っていたヴィラージュワインをロッシュ・シリーズとして売り出すことにした。2008年ロッシュ・カルケール(石灰岩)、2013年ロッシュ・ヴォルカニック(火山岩)、そして2016年ロッシュ・グラニティック(花崗岩)をリリースした。狙いはそれぞれの畑の土壌由来の個性を表現することにあるという。

 

ロッシュ・グラニティックはグラン・クリュ ブランドの樹齢の若い区画のブドウで造るワイン。香りに洋梨などの果実と火打石のニュアンスがあり、滑らかな口あたりでミッド・パレットに厚みとやさしい酸味を感じる。ロッシュ・カルケール、ロッシュ・グラニティックと比較しながら飲めば、花崗岩の畑の個性がはっきり分かるという。

 

ロッシュ・シリーズの代わりに3 種類の土壌から生まれた2015年産リースリングを比較試飲した。
①花崗岩(ブランド グラン・クリュ)
②石灰岩(クロ・ヴィンスヴュール)
③火山岩(ランゲン・ド・タン クロ・サンテュルバン グラン・クリュ)の3 本である。

ワインの全体像をまとめると、ブランドはバランスが良く、クロ・ヴィンスヴュールは純正(ピュア)で、クロ・サンテュルバンは力強さがあった。はたしてこれは土壌の特性から来るものなのだろうか。

 

ワインの解説をしたジョリーン・ハンター輸出部長によると、それぞれの畑のロケーションは、「①比較的緩やかな斜面で南東向き、②標高が高く“ プティ・シベリア” と呼ばれるほど寒い畑、③急峻な南向きの斜面で昼夜の気温差が大きい」という。つまり3 つのワインの特徴は、いまのところ土壌のタイプや根の張り方など根圏由来のものより、日当たりや気温差、キャノピーなど葉圏由来の要素に依るところ大きいのではないだろうか。できればロッシュ・シリーズを同一ヴィンテージで比較試飲したいと思った。

 

2016年は4月から6月にかけて平年の3倍の雨が降った。その後は暑くて乾燥した夏になり、8月末にはブドウ樹が水分ストレスを受け、ことに若い樹にその傾向が強かった。しかし収穫期が乾燥していたのでブドウはきわめて健全だった。だから11 月まで収穫を待ったブドウにもボトリティスは付かなかった。ただ、クロ・ジェブサルのピノ・グリだけは例外だった。オリヴィエはこのブドウで「セレクション・ド・グラン・ノーブル2016」を造り、6月1日より日本市場でもリリースした。はちみつや白い花の香り、濃厚な味わいだがフィニッシュにきれいな酸味が口中をすっきりさせてくれる。

 

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトは、ワインの味わい(甘口から辛口)を5段階の数字で示す独自のインデックスをラベルに記載している。ラベルにはINDICE 1~5が表示される。ちなみに新発売のリースリング ロッシュ・ グラニティック2016 はINDICE 1、2015年産のリースリング クロ・ヴィンスヴュールにはINDICE 2と記載されている。

 

WANDS2018年7月8月合併号は「米国西海岸のワイン」「ボルドー・プリムール」「夏のスピリッツ」特集です。

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