7代目最高醸造責任者エルヴェ・デシャンに聞く、ペリエ ジュエ ブラゾン ロゼのスタイル

「レデン 東京 バイ ペリエ ジュエ」の「ペリエ ジュエのスタイルを現代に引き継ぐシャンパーニュへの招待」セミナーを踏まえ、7代目最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏にブラゾン ロゼを中心に話を聞いた。

 

スタイルの継承者

エルヴェ・デシャン氏は、1811年に始まったペリエ ジュエの歴史、つまり200年以上続いているメゾンにおいて7番目の最高醸造責任者だ。計算すると、それぞれ約30年ずつ任務にあたったことになる。エルヴェさんは10年間アシスタントを務めた後で25年前から現職だというから、もうしばらく続けてくれるに違いない。

シャルドネ由来の白い花とレモンのような柑橘類の香り。この白い色を彷彿させる特徴に秀でた「独自のスタイル」を打ち立てたメゾンとしてペリエ ジュエは知られている。このスタイルを代々守り伝えるのが最高醸造責任者の使命だと、前にも聞いたことがある。そして、スタイルを引き継ぐために何より重要なのがテイスティングとブレンドだ。

「料理人の素材選びにも似ている。しかし違うのは、3年後、6年後を見据えて素材を選びブレンドしなくてはならないことだ。アシスタント時代の10年間に前任の最高醸造責任者と共にテイスティングを続けて、そのすべを体得した」。

収穫を終えたブドウの醗酵が終了して、2か月ほど経過してからテイスティングが始まる。「およそ250のワインを味見をするが、酸が高いので一度に20種類までしかテイスティングできない」という。ヴァン・クレールと呼ばれている瓶詰め前のワインは、シャンパーニュ地方を春先に訪問した時に何度か試飲させてもらったが確かにとても酸が高い。普通のワインの倍ほどある。だから、重要な責務であるとともに過酷な仕事でもある。

「朝と昼1日に2回、1週間で250種類をテイスティングする。それを3周して全てを査定する。そしてブレンドを決め、7月末までに瓶詰めを行う」。

 

赤いベリーが香るブラゾン ロゼ

基本となる「ペリエ ジュエ グラン ブリュット」は、シャルドネ由来の香りの印象が強いためシャルドネの比率が高いのかと思うが、実はシャルドネの占める割合は20%だけ。第一印象としてシャルドネ由来の香りが感じられるように、入念な素材選びが行われているという証だ。

「ブラゾン ロゼ」は、グラン ブリュットと対をなすノン・ヴィンテージのロゼだが、グラン ブリュットと似ているようで明確な違いがある。

「ベースはグラン ブリュットに近いが、このロゼは赤ワインを加えるのでそれによってフローラルな要素が消えないように意識的にシャルドネを増やしている」。ブラゾン ロゼはシャルドネが占める割合は25%だ。そして赤ワイン15%を含めてピノ・ノワールが50%、残りの25%はムニエとなる。

「赤ワインが加わることで、フローラルさに加えてフレッシュな潰したてのイチゴのような香りや、まろやかな味わいになる。そしてほんのりとしたタンニンにより、酸が中和される」。

エルヴェさんは「シャンパーニュにとって最も大切なことはバランスだ。何かひとつが支配的になってはならない」という。

 

ブレンドしている赤ワインは、南向きで日照に恵まれた畑で育つ古木で収穫量が低いピノ・ノワールから造られている。この赤ワインがサーモンピンクの色合いを与えてくれる。香りには、色が赤く酸味を連想させるイメージの赤い果実、例えばキイチゴ、イチゴ、ブラックベリーなどが感じられる。口に入れるとグラン ブリュットとは異なり、馥郁たる豊かな味わいが早く広がる。タンニンは表立つことはないがほのかに存在することで酸を和らげてまろやかにする。だからドザージュはグラン ブリュットと同じ9g/lだが、より甘く感じるはず。アペリティフにもよいし、鴨、ハト、仔羊などの料理、あるいは赤い果実を使ったデザートやフォンダンショコラにも合わせられる。

 

<おまけの話>

ペリエ ジュエのファンの方々が参加された試飲セミナーで、エルヴェさんはいくつかの質問に答えていました。その中で、バランスへのこだわりが感じられたいくつかを記しておきます。

Q: エクストラ・ブリュットやノン・ドゼは造らないの?

A: エクストラ・ブリュットは試してみたことはある。ただ、ペリエ ジュエのスタイルには合わないと判断した。それから、ノン・ドゼはアグレッシブで男性的な印象になる。生牡蠣などヨード系の香りのする素材にはよく合うと思うしアペリティフにはよいが、飲んで1、2杯までではないだろうか。

Q: 甘口も造らないの?

A: ドゥミ・セックも造らない。シャンパーニュの描写は女性のそれに似ていると思っている。ペリエ ジュエは、ブドウの姿をそのまま表現したいので造らない。(ドゥミ・セックはドザージュ50g/lにもなるので、いわば厚化粧になるでしょ、という意味だと理解しました)

 

以前からエルヴェさんは「バランス」の魔術師だと思っていましたが、やはり!と改めて感じた次第です。

(Photo by Yuji Komatsu / text by Y. Nagoshi)

輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

「7代目最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏に聞くペリエ ジュエ ベル エポックの熟成」

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