スーパータスカンを代表する造り手 ルーチェ・デッラ・ヴィーテの新たな挑戦

スーパータスカンの代表格ルーチェ・デッラ・ヴィーテ(以下、ルーチェ)の醸造長ステファノ・ルイーニ来日に合わせ、3銘柄の平行及び垂直試飲が行われた。現在ルーチェは改革の真っ只中にあり、その独自性をより強調すべく、2017年にワイナリーの改築やルーチェ専用チームを編成するなど新たに投資を行った。

ルーチェは、トスカーナの中でも特異なテロワールを持つ土地として有名なモンタルチーノにおいて、伝統を守りながらも既存のルールに囚われない傑出したワインを生み出すために2人の奇才ヴィットリオ・フレスコバルディとロバート・モンダヴィによって創設されワイナリーだ。フレスコバルディ家は既に70年代にモンタルチーノ地域に畑を所有しており、サンジョベーゼを育てるのに理想的な条件を揃えているこの土地に敢えてメルローを植えた。ルーチェの畑は、モンタルチーノ南西に位置し、標高は350~420mとなる。

畑の上部は砂質と石灰岩から成る土壌が主体であり、痩せた水捌けの良い土壌でサンジョヴェーゼの栽培に向いている。他方、畑の下部は粘土質主体でメルローの栽培に適している。畑が南向きなことに加え、年間通して十分な日射量があるため、ブドウはしっかりと成熟し、また風が吹き、日較差も大きいことから豊かなアロマや複雑味が維持される。95年にルーチェを売り出した際には、フレスコバルディ家は既にこの地でのブドウ栽培の豊富な経験を有していた。最初はブルネッロ以外のものを造ることに対する反対の声も大きかったが、伝統を無視することなく、新たな価値を生み出していくためには既存のルールに囚われないことが重要だとの考えのもとに「ルーチェ」が生まれた。

ステファノ・ルイーニによれば、ワインの質の8割は土壌で決まる。残りの要素は醸造技術など

人的介入により左右されるものだが、決定的なのはテロワールである。また、彼の理念としては、ビオロジック、そしてビオディナミ農法に従って栽培を行うことが重要だ。テロワールの概念は複雑であり、時には人間が想像もできない幾多も要素がテロワールを形成している以上、化学的なものなど、畑の生命力を損なうものを無闇に使用することは避ける。有機の認定は受けているが、有機栽培という概念とルーチェの名前を合わせて売り出そうとは考えていないため表記はしていない。マセレーションは長めで約4、5週間。ルーチェとルチェンテはバリック、ブルネッロは大樽で醸される。

2004年にルーチェの所有権はモンダヴィ家からフレスコバルディ家のものへと移り、当主であるランベルト・フレスコバルディの独自のワイナリーを持つという夢は今年に実現へ向けて動き出した。ボルドーでの豊富な醸造経験を持つステファノ・ルイーニを新しい醸造長として迎え入れ、ワイナリーの改築をするなどルーチェの魅力をさらに引き出し、さらなる高みを目指す試みがスタートした。より精密な醸造を行うために、各区画ごとに醸造できるように小型のタンクなどを導入。また醸造中の温度変化を緩やかに保つため、ステンレスタンクは一切使わず、すべてセメントタンクで醸造している。

(Johannes Hasuki Sasaki) 輸入元:日本リカー

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