酸素へのアプローチでブドウのすべてを引き出すバローロの挑戦者 パルッソ

パルッソ家はブッシアで1930年代から農業を営み、71年に父アルマンドがワイナリーを設立。マルコが家業に参画したのは86年。当初は「ワインがおいしいと思えず」、卒業後は都会に出て働いていたというが、「出会ったスイス人医師に素晴らしいワインの存在を教えてもらい、ブルゴーニュ訪問を機に家業を継ぐことを決意した」と言う。

畑を所有するのは、標高200~600メートルの多様な地形。「向きや斜度だけでなく、ブドウの樹ごとに合わせて仕立てやキャノピーマネージメントを変える。手がかかるが、ブドウは畑の情報をワインに運ぶ。だからブドウがバランスよく幸せな状態でいることがなにより大切なんです」。

90年代にバローロ・ボーイズの一員としてモダンなワイン造りを取り入れたマルコは、この30年間、自分でもさまざまなチャレンジも行ってきた。とくにこだわったのが酸素へのアプローチだ。まず、収穫したブドウを、2~5日間、18~24度に設定したセラーで休ませる。セラーを清潔に保つため、イオン化装置があり、プロポリスも放出される。「収穫したてのブドウはストレスを感じて味がバラバラ。茎も種も苦いし水分も多い。けれど5日後にはブドウはやわらかく熟し、梗から苦い水も出ず、タンニンは甘くなり、抗酸化作用さえ持つようになる。また、梗に入った酸素はピエモンテのような自然発酵が難しい寒冷地でも発酵を進めてくれる。昔はブドウを除梗していなかったのも理由があった」。

07年から全房発酵。温度管理が徹底できるロータリーファーメンターに入れ、4~8度で4~6日低温浸漬を行う。「こうすると繊細なタンニンを抽出できる。またこのときによいブドウは沈み、悪い粒や葉などは浮くので、それを網でていねいにすくう。その後いっきに35度に温度を上げ、24時間後に22度に下げてアルコール発酵をスタート。グラを与えるため終わる頃にまた26~28度に上げる。すべての段階において、素早い温度の上げ下が大切。ゆっくりだと悪い酵母が働いてしまうから。縦型の発酵槽ではなく、横型のロータリーファーメンターを使うのはそのため。そして40~90日間マセラシオン。抽出のピークは20日ころで、それを過ぎると、安定しないものはブドウや茎に戻っていく」。

(Megumi Nishida)

つづきはWANDS 2018年9月号をご覧ください。9月号は「2018秋冬のワイン需要を探る」「イタリアワイン」特集です。
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