新時代を迎えるドイツのピノ品種

今年5月、Pinot Paradise Germanyという名の下でドイツワインインスティトゥート(以下DWI)により、ドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)、ワイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)を紹介するイベントが開催された。通常、ドイツと聞いて、まず連想するブドウ品種はリースリングである。リースリングと並び、栽培面積も大きく、高品質であるにも関わらず、これまであまり知られてこなかったドイツにおけるピノ品種の実態ついてより深い理解を得てもらうというのがイベントの趣旨だ。

 

ドイツワイン市場の基本的なデータ

(以下の数的データは2016年度の統計から引用している)

ドイツの総ブドウ栽培面積は約102,000haであり、白ブドウで最も多く栽培されているのは上位からリースリング(23,7000ha)、ミュラー・トゥルガウ(12,623ha)、グラウブルグンダー(6,179ha)、ワイスブルグンダー(5,161ha)で、2種類のピノ品種がトップ4位にランクインしている。また、赤ブドウに関しては、トップがシュペートブルグンダー(11,787ha)で、その後はドイツの在来種であるドルンフェルダー(7,741ha)、ポルトギーザー(3,246ha)、トロリンガー(2,280ha)が続く。

ここからドイツが白ブドウをより多く栽培していることが見て取れるが、シュペートブルグンダー、ワイスブルグンダー、グラウブルグンダーのピノ3品種の総栽培面積はリースリングとほぼ等しいことが分かる。ちなみに、ドイツのリースリングとワイスブルグンダーの栽培面積はともに世界第1位で、シュペートブルグンダーとグラウブルグンダーはともに世界第3位である。最も重要な輸出国は金額ベースでアメリカが第1位(80,000€)で、オランダ、ノルウェーが続き、日本は第9位(10,000€)である。

また、ドイツはとても大きなワイン輸入国でもあり輸入量は14,461,000hlだ。ワイン輸入先は上位からイタリア(5,470,000hl)、フランス(2,144,000hl)、スペイン(3,497,000hl)、南アフリカ(819,000hl)となっている。ドイツにおいてワインの約80%がスーパーマーケットやディスカウントショップで購入されており(平均購入単価2.97€)、低価格帯のドイツワインは南アフリカやチリなど他国のワインとの激しい価格競争にさらされている。DWIのエルンスト・ビューシャーによると、ドイツ人は一つのお店で全ての買い物を済ませる傾向が強く、わざわざワインショップでワインを買う人が少ないという。

加えて、ドイツワインより他国ワインの方が安くてボリュームがあるという一般的なイメージが定着しているため、自国のワインは競争に負けてしまっていた。しかし、最近では消費者嗜好のビオ製品への移行と共に、地産地消の傾向がより顕著になっており、特にライフクオリティーを重視する若い世代の人々は地元の生産品やより良質なものに多くのお金を払うようになったという。また、そのような市場の動きに合わせてスーパーマーケットなどもより多く地元のワインを棚に置き始めている。

食に対する意識の変容とともに、一般消費者の自国のワインに対する評価は向上しており、国内需要に関してもドイツワイン生産者の間では楽観的な雰囲気が漂っている。

 

DWIのウルリケ・レンハートより現在のドイツワインについて

DWIのウルリケ・レンハートはドイツワインの現状について以下のように話す。

「日本の消費者には、ドイツワインのスタイルがこれまでの官僚的及び伝統的なスタイルから大きく変化したことを知ってもらいたい。これまではドイツワインと日本食などとのマリアージュを教える活動をしてきたが、今まで以上に日本のソムリエに対してドイツワインの教育を行わなければいけないと感じている。
ソムリエが一般消費者にドイツワインを提案する上で一つの障壁だと考えられるのは、そもそもドイツワインやドイツの食文化に対する具体的なイメージがないことかもしれない。今では若くエネルギッシュな生産者が多く台頭しており、既存のルールに囚われず、情熱を持ってワイン造りに励んでいる人々がいることを日本に伝えていきたい。
日本でのドイツワインイベントの反応はとてもよく、ドイツワイン情報への需要は増えており、今後数年にかけてプロモーションを強化していく。現在は13カ国で活動を行っており、アメリカ、オランダ、ノルウェー、英国、中国での販売はとても順調だ。ただ、80〜90年代の時のように過剰な輸出には注意する必要がある。
ドイツの生産者は、輸出するだけではなく、現地に赴いて販売なども支援しなければならない。一方、ドイツ国内のドイツワイン需要もしっかりとあり、海外のプロモーションなどは費用もかかるため、ワインの輸出量は下がり、輸出ワインの価格が上がるという傾向がある。国内ではライフスタイルをより重視する動きが年々顕著になっている。
ドイツの生産者は国内における供給と安定した輸出の間でバランスを取らなければならない。ここ数年でドイツのピノ品種の品質はとても上がってあり、今後は世界的により注目されるようになるはずだ。」(Johannes Haruki Sasaki)

(つづく/バーデンの特徴、歴史、気候と土壌、10地域の紹介/ピノ・ノワールのクローンについて/VDP及び既存の法律の問題/生産者訪問1Weingut Fritz Wassmar/生産者訪問 2Weingut Bernhard Huber/生産者訪問 3Weingut Franz Keller/生産者訪問 4Weingut Dr.HEGER/生産者訪問 5Weingut Jülg/生産者訪問 6Wilhelmshof/生産者訪問 7Weingut Dr. Wehrheim/生産者訪問 8Friedrich Becker/フリードリッヒい訊く「ドイツのピノ・ノワール」)

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9月号は「2018秋冬のワイン需要を探る」「イタリアワイン」特集です。
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