山間部に点在する畑をビオディナミで栽培し 義理の姉妹コンビが造る こだわりのカバ パレス・バルタ

パレス・バルタのアイコンは、黒い背景に映えるオレンジ色の蝶だ。これは、自然を尊重していることだけでなく「他とは何か違う、独自のスタイルを求めている」様子を象徴しているように思う。日本市場を見るために来日した輸出部長のマキシム・バザールに、その哲学やクジネ一家について聞いた。

 

在来品種を重視

クジネ家の歴史は1790年まで遡れるが、ワイン造りは1960年代からで、現在3代目が活躍している。長男のジョアンと末っ子のジョゼップが経営面を取り仕切り、ジョアンの妻で元化学者のマリア=エレーナ、そしてジョゼップの妻で元薬剤師のマルタが、栽培と醸造を担当している。

小さな街ビラフランカから少し内陸に向かうと、パレス・バルタの拠点となる醸造所がある。畑は、海から10kmの立地から山間部までおよそ5か所にあり、合計で約100haに及ぶ。海岸山脈の手前の北西向きの貝殻が豊かな土壌、ビラフランカ寄りの石が多い土壌、醸造所周辺のチョーク質土壌、山へ向かう途中の粘土石灰質土壌、そしてフォーシュ国立公園内の山間部は粘土や赤い粘土質など様々な条件の小さな区画。標高も170〜750mまでと多様だ。微気候や土壌に合わせて栽培品種を変え、国際品種も植えてはいるが、在来品種についての思い入れも大変強い。

「国際品種がトレンドになった頃にガルナッチャが消えてしまうのではないかと心配した。だから90年代末頃にガルナッチャを多く植えると決めた」。酸が保てるように山間部の区画を中心に栽培しており、ここではガルナッチャ100%のロゼも造っている。近年は、チャレッロを増やしている。

 

有機栽培からビオディナミへ

化学的な物質は一切使用したことはなく、有機栽培の認証を得たのは2003年で、その後ビオディナミへ転換して2013年にデメテールの認証を得た。ビオディナミを学ぶために講習に参加したマルタは、まるで祖父の時代に戻るような感覚だったという。今では羊飼いを雇い入れ100頭もの羊を飼い、雑草対策と施肥に役立たせているだけでなくチーズ作りもしている。「ただし、ビオディナミの信者になるつもりはない。独自の分析やフィーリングが重要だと考えている。どの畑がどのような個性を備えているのか、丹念に畑仕事をしながら毎年検証している」という。

 

Brut Nature 2014年収穫のチャレッロ42%、マカベオ31%、パレリャーダ27%。2017年春デゴルジュマン。40hl/ha。ノン・マロラクティック。ブリュット・ナチュールを始めたのは3代目に交代してからで2003年が初。これと次のピンクには”Vegan”マークが裏ラベルに記されている。「スウェーデンとスイスからよく問い合わせがあり、特にスイスが敏感」。熟した黄色い果実や蜂蜜の豊かな香りで、なめらかでふくよか。ドザージュ・ゼロでも大変心地よいバランス。

Pink ガルナッチャ38%、パレリャーダ32%、マカベオ30%。40hl/ha。これはブリュットでドザージュ7〜8g/l。”Vegan”。ピンク色はガルナッチャをマセレーションして。品種や組み合わせは毎年異なり、混醸している。ラズベリーやアプリコットなどのクリーンな香りで、程よい軽やかさと膨らみのある味わい。

(Y. Nagoshi)

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