ニュージーランド、マルボロの「フォリウム」より、新ヴィンテージ2014年リリース

<フォリウムドらしさの理由>

フォリウムを造る岡田岳樹氏

フォリウムを造る岡田岳樹氏

「マルボロのソーヴィニヨン・ブランは、ピーマン、スグリ、パッションフルーツといった清涼感のある香りが典型的」だ。この青い香りが好きな顧客層がいるのはわかっているが、フォリウムには絶対に出したくない。そのために必要なのが、高い植樹率、灌漑をしないこと、手仕事、有機栽培など、枚挙にいとまがない。ただし、除葉をしすぎると反対に南国系の香りになってしまうので、それも要注意だ。

また、典型的なソーヴィニヨン・ブランに、ピーマン系の青い香りと熟したトロピカル系果実の香りが混在するには理由がある。ひとつは機械収穫によるもので、熟度の異なる房を一度で収穫したり、葉の混在があるといわれている。もうひとつは、多くのワイナリーはマルボロで数カ所に畑を所有している、あるいは数カ所の畑から購入してブレンドしていることにある。ワイラウからはトロピカルフルーツの香りが出やすく、サザン・ヴァレーからは青みがかった香りが出やすい。これらをブレンドするから、異なる方向性の香りが感じられるのだ。しかし、フォリウムの場合は一続きの畑のため、一貫性を保てる。

「大手と同じことをしていても生き残れないので、うちは一定の顧客へ向けてワイン造りを続ける」という決心は堅い。

ここでは、ソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールを栽培し、ノーマル・ラインとリゼルヴァがある。どちらも完全に畑が分かれており、前者はワイラウ・ヴァレー寄りにあり、河川由来の小石や砂礫を多く含む土壌で、樹齢11年の葡萄から造られる。

後者はまさにサザン・ヴァレーらしい、粘土質が多い土壌で、砂礫や小石を含む河川土壌と層になっている土壌だ。近年サザン・ヴァレーでは、ピノ・ノワールの植樹が増えているという。ここではどちらも樹齢が20年近くなっている。

面白いことに、2014年と2013年を比較するとソーヴィニヨンでもピノ・ノワールでも、前者の畑のほうが2014年の涼しげな様子と2013年の温暖さがより如実に表れていた。

<試飲した銘柄>

ソーヴィニヨン・ブラン2014 涼しげな立ちのぼる香りで、スターフルーツやカボスのような香り。なめらかなアタックで、酸がきれいにバランスし、塩っぽさも感じられる。

ソーヴィニヨン・ブラン2013 マーマレード的な熟した香りに香ばしさも加わる。とてもなめらかな食感で、酸もしっかりしている。

ソーヴィニヨン・ブラン リザーヴ 2014 タイトな香りで、熟した果実の香りだが、幾分涼しげな要素が感じられる。厚みがある。

ソーヴィニヨン・ブラン リザーヴ2013 こちらも香りはまだ閉じ気味。厚みのある、なめらかな味わいで、適度なボリューム感も。

ピノ・ノワール 2014 涼しげで、タイトな香り。ラズベリー系の赤い果実が、上品に、清楚に香る。ジューシーでなめらかな食感で、はじめは堅いが時間と共に柔らかになる。

ピノ・ノワール 2013 熟度の高いラズベリーなど、より厚みのある香りで、まろやかさが感じられる。凝縮感のある味わい。

ピノ・ノワール リザーヴ 2013 香りの強度はあるが、全体にタイトでまだとても若い状態。しっかりとした味わいで、まろやか。

(Y. Nagoshi)

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