ボルドーワイン委員会 TPP合意の見方

TPP(環太平洋経済連携協定)合意で、ワインはボトル1本あたり最大で93.75円も安くなる。これは低価格ワインにとって効果は大きいが、高額ワインに及ぼす影響は極めて限定的だと思われる。このほど来日したボルドーワイン委員会のベルナール・ファルジュ会長に、TPP合意がボルドーワインに及ぼす影響を聞いた。

環太平洋の国々のワイン関係者にとってこの合意はすばらしい出来事だ。すでに中国市場ではチリ、オーストラリア、ニュージーランドがそれぞれ二国間協定を結んでおりヨーロッパのワインよりも優位な競争条件を獲得している。これにTPPが加わったので、アジア市場は(ヨーロッパのワインにとって)ますます競争が激しくなる。EUも早く対応しないといけない。ヨーロッパのワイン関係者はEU当局に関税障壁の解消を強く要求してきた。今回、中国市場に加えて環太平洋諸国間のワインの関税が逓減されるに至って、EU当局もわれわれワイン関係者の問題提起を重視して(関税障壁の解消に)動いてくれることを期待している。

ただ、TPP合意によって日本市場のボルドーワインに及ぼす影響はそれほど大きくないと考えている。たとえばチリワインは安いものが主体なのでボルドーとは競合しない。豪州ワインはボルドーと競合する価格帯の生産が安定していないから心配ない。米国ワインは自国内の消費が旺盛なので輸出に力を注いでいない。むしろ今後は、ボルドーワインが米国市場に入り込める余地が大きいと思う。ただニュージーランドの特に白ワインは、価格競争力をもつことでボルドーと競合するとみている。

ボルドーワインはこれからも日本の消費者の期待に応えられるようすべての販売チャネルで存在感を増すように努める。アサンブラージュによって生まれるボルドーの特性、品質の優位性をていねいに訴えていこうと思う。

(K. B.)

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