バロッサの古木から 凝縮しつつエレガントなワインを育む グラント・バージ

バロッサ・ヴァレーに初めてイギリス系およびドイツ系の移民が入植したのは1847年。

オーストラリアでは最も古いブドウ栽培地のひとつだ。そのバロッサで「グラント・バージワイン」が設立されたのは1988年と比較的新しいが、創設者のグラントはイギリス移民の子孫で5代目。初代のジョン&エリザ・バージ夫妻は1855年、二人の息子とともにバロッサに移住し、小麦栽培や羊の飼育、そしてブドウ栽培を始めたという。バージ家はバロッサにおけるパイオニアのひとりであり、160年以上にわたりバロッサにフォーカスしつつブドウ栽培とワイン造りの歴史を刻んできた。

グラント・バージはバロッサ南部、リンドックからタヌンダ周辺を中心に、(一部エデン・ヴァレーを含む)17の異なる葡萄畑、延べおよそ150ha を所有し、農薬や除草剤を使わないサステイナブル農法を実践している。バロッサ南部は穏やかな温暖気候で、降雨量が多く樹間のストレスが少ない。モザイク状と言われる土壌も基本的に肥沃な赤茶の粘土ローム層で保水性がある。バロッサ北部では黑い果実の特徴が強くビッグなワインになるのに対し、南部ではベリーなどの赤い果実の風味があり、タンニンもソフトでエレガントなスタイルになるという。

グラント・バージは2015年にアコレードワインズの傘下に入ったが、畑の多くはすでに引退したグラント氏とアコレードとの折半所有で、それぞれの区画の古木にフォーカスしたワイン造りが継承されている。ただし、かつてリンドックにあった歴史的なフォーティファイド・ワイナリーは閉じられ、醸造はすべてクロンドルフのワイナリーに集約されているようだ。

 2005年からグラント・バージでチーフワインメーカーを務めるクレイグ・スタンスボロー氏が初来日し、フラッグシップワインを含む幾つかのワインを試飲した。

 

5th Generation Shiraz 2016

フィフス・ジェネレーションはバロッサに特化したグラント・バージのワインスタイルを表現したワインシリーズ。シラーズのほか、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、メルロー、カベルネ/メルローなどのヴァラエタルワインがつくられている。

2016年のバロッサは赤ワインにとって優れたヴィンテージ。自社畑30%を含むバロッサ各地のブドウを使用し、アメリカンとフレンチの樽で14か月熟成。ラズベリーやブラックベリーのアロマ、滑らかなテクスチャーが楽しめる。

 

つづきはWANDS 2018年12月号をご覧ください。
12月号は「オーストラリアワイン/南アフリカワイン」特集です。
ウォンズのご購読・ご購入はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る