コニャック・カミュの魅力と チリ生まれのミクソロジスト

コニャック・カミュをカクテルベースに使い、コニャックの新しい魅力を引き出そうという企画がある。現在のウイスキーベースのカクテルの多くは、禁酒法以前のアメリカではコニャックベースで創られていたという。つまりコニャックには古くからミクソロジーに使われてきたという歴史があるらしい。そして2018年度のカクテル売上げTOP30の中にはコニャックベースのカクテルが3種も入っているともいう。

 

コニャック・カミュをカクテルベースに使うことの良さは何か。ひとつはコニャックの香りの豊かさが活きること。ふたつ目はエレガンスVSOP、ボルドリーVSOP、イル・ド・レなどカミュには選択肢が豊富だということ。そして併せてコニャックの物語性とプレミアム感だという。

 

そう言われても、コニャックはストレートで愉しむのが一番だという思いは揺るがない。ただ、コニャック全盛期がとうに過ぎて、もういちど新しい消費者をコニャックに呼び戻そうとするなら、ミクソロジーの力に頼ることがあっても良いとは思う。そんな折、中国・上海に住むチリ人のミクソロジストが来日して、東京・西新宿のBAR B&Fでオリジナル・カミュ・カクテルを創るという。カミュ・グローバル・ブランド・アンバサダーのギリェルメ・バルディビエソは、いま上海で話題のトップ・バーテンダーだ。

 

ギリェルメはチリで生まれ19 歳の時にバー業界に入った。その後、中東のドバイに渡り、フランス、アムステルダム、ギリシャ、カタールを経て、5年前に中国・上海に辿り着いたという。11月26日、ギリェルメがコニャック・カミュを使った次の3種類のオリジナル・カクテルを用意していた。

 

①オーク・イン・パラダイス カミュVSOPエレガンス60ml、フレッシュレモンジュース30ml、私製カルダモン&シナモンシロップ20ml、グリル・パイナップルジュース40ml、卵白15ml。

VSOP エレガンスはワインを澱とともに蒸留するのでアロマの要素が多様で複雑なことが特徴。アーモンド、ナッツ、スパイスなどのアロマがある。パイナップルをフライパンでグリルしており、甘さの奥から焦がした香りがほんのり感じられる。

 

②ザ・ブラックスミス(ブラックスミスは鍛冶屋のことでそれをイメージしたカクテル) カミュ・イル・ド・レ・ファインアイランド30ml、カルパノ・アンティカ・フォーミュラ・ベルモット・ロッソ30ml、カンパリ30ml、メスカル8ml、グレープフルーツビターズ3ダッシュ。

イル・ド・レはコニャックの沖合、大西洋に浮かぶレ島で収穫されたブドウで造るコニャック。ヨードや塩味を含んでいる。カンパリの苦み、メスカルの持つオークのような風味、ほんの少しだけ使っているトリュフオイルの香りなど、さまざまな香りの複合体になっている。口中もそれほど甘くなく後味に塩味のミネラルを感じる。これはいけると思ったけれど、イル・ド・レをストレートで飲んだらストレートの方が旨かった。

 

③ア・ナイト・イン・ザ・シー カミュ・ボルドリーVSOP60ml、私製クミン&バニラシロップ20ml、搾りたて青リンゴジュース40ml、フレッシュレモンジュース30ml、卵白20ml。

ボルドリーはコニャックの中でもフローラルなアロマの強い個性的な産地である。カミュ家はボルドリーに自社畑を所有しており、これはそのブドウだけで造っている。ワインをろ過せずに澱とともに2,500ℓの小さなポットスティルに入れて蒸留する。そしてフレンチオーク樽で熟成する。樽由来の要素、澱由来の要素が相まってバニラや花などボルドリーならではのアロマを造りだすという。そのボルドリーにクミンシードやバニラスティックを使ったシロップが加わることで、なにやらオリエンタルな雰囲気が醸し出されている。これはコニャックの一つの愉しみ方だと思った。

 

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