カオールのマルベックを革新する ヴェンチャーワインCROCUS

フランス南西地方、カオールのワイン「CROCUS( クロッカス)」は、Ch. De Mercuésをはじめとして地元で4代続く家族経営ワイナリー「ジョルジュ・ヴィグルー」と、アルゼンチン産マルベックの旗手として知られる世界的なワインコンサルタント、ポール・ホッブスとのコラボレーションによって2011年に誕生した。2016年からクロッカス・ワインを取り扱っている国分グループ本社がこのほど、ジョルジュ・ヴィグルーの現当主であるベルトラン=ガブリエル・ヴィグルーとポール・ホッブス両氏を迎えて、ワインメーカーズディナーを開催した。

マルベック生誕の地といわれるカオールでは今から2000年前、古代ローマ時代にはこの品種が栽培されていた。痩せた高地の石灰岩土壌で育まれたマルベックは濃い色調のワインを生み出し、中世には“黒いワイン”と呼ばれ、世界中に輸出されていたという。しかし、1241年にカオールは王室の保護を失い、代わって台頭してきたボルドーにおいてマルベックはカベルネ・フランやメルロと同様にブレンド用の補助品種と使われるようになった。さらに、1876年以降はフィロキセラ禍やミルデュー、黒腐病などの病害がこの地域を次々と襲った。この結果、1880年に8万haあったカオールのブドウ畑は1886年には5万8800haまで落ち込んだ。

カオールは1971年にAOCに認定され、少なくとも70%以上マルベックを使うことが義務づけられたが、この時点で生き残っていたブドウ樹は僅か440ha。こうしたなかで、ブドウの再植に尽力したのがベルトラン= ガブリエルの父、ジョルジュ・ヴィグルーだったという。2万1700haのAOC区域を持つカオールでは現在、栽培面積が4300haまで拡大したが、それでも最盛期、1880年の僅か5%でしかない。

香辛料のサフランを生み出すクロッカスは14世紀から栽培されているカオール地方の特産品のひとつ。その名前を冠したワイン「クロッカス」のプロジェクトは10年ほど前、ベルトラン=ガブリエルが初めてアルゼンチンに赴き、ポール・ホッブスがメンドーサでつくるViña Cobos Malbecを飲んで感激したことから始まる。ベルトラン=ガブリエルの招きを受けて、翌年にカオールを訪れたポールは、ロット川の河岸段丘沿いに広がるカオールのブドウ畑がユニークなテロワールを持っているにもかかわらず、そこでつくられていたワインはオールドスタイルで、現代人の嗜好にそぐわないものであることを知った。以来、二人は協力してカオール各地のリサーチを重ね、栽培/ 醸造の両面で革新的なワイン造りを進めている。畑では、機械収穫を止め全て手摘みを実践。醸造においては衛生管理を徹底している。

「私が目指しているスタイルは、オーク香が突出すること無く、飲みやすくてフレッシュ、ジューシーな味わい。アルゼンチンのマルベックは花崗岩由来のブルーベリーに特徴があるが、カオールのマルベックはストラクチャーがあり黒い果実の風味が豊かだ」と、ポール。

カオールのブドウ栽培地は、中央高地に源を発し東から西へと蛇行を繰り返しながら最終的にガロンヌ川へと合流するロット河の沖積層段丘と、その周辺の石灰岩台地に広がっている。平均標高は170~300m。平均降雨量は650m。ボルドーよりはるかに内陸部に位置しているが、地中海性気候の影響を受ける海洋性気候下にある。

 

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