WANDS EDITORIAL 2019 酒類市場予測 酒類消費の長期低落傾向が続く中で さらなる需要掘り起こし施策が求められている

平成最後の2018年を締めくくる「今年の漢字一文字」は「災」が選ばれた。北海道胆振東部地震や西日本豪雨、記録的な猛暑、台風21号と24号の直撃など、いつにも増して自然災害の脅威を痛感した一年だった。景気の緩やかな回復基調は戦後最長かと言われるほど続いているが、高額品需要が増える一方で、依然として消費者の低価格志向は根強い。そして、クリスマスの日にありがたくないプレゼントとして飛び込んできたのが、日経平均株価の2万円割れというニュースだ。世界的な経済減速、貿易戦争に端を発した米中対立、米国FRB の追加利上げに対するトランプ大統領の対応への懸念などがその背景にあるといわれる。日本の実態経済は底堅いという見方があるものの、景気の先行きへの不透明感はさらに強まっている。株安が続けば消費者心理や企業の投資意欲を冷やして景気の本格回復に水を差す懸念は否めない。

 

2018年における酒類の販売状況を示す酒税課税状況はまだ9月分までしか発表されていないが、1~9月累計の総合計では前年対比1.3%減。ビール類や清酒、果実酒はいずれも前年割れとなり、主要酒類のなかで勢いがあるのはハイボールブームが続くウイスキーと、カクテル提案やRTD 需要に支えられたスピリッツ類、リキュール類だけとなっている。残り3か月の数字は不明だが、年末までの販売動向を見る限り通年の着地点もそう大きな変化はないだろう。

 

過去30年間の種類別消費の推移グラフが示すように、少子高齢化や人口減少、若年層の酒離れが続く日本では酒類の総需要が減少傾向にある。そして、外飲みからの家飲みへと消費のあり様も変化し、嗜好もますます多様化へと向かっている。明ける2019年10月にはこれまでに二度延期された消費増税も予定されており、軽減税率適用外となった酒類のなかで消費者が何を選択するか、どんなお酒が消費者の心をつかむことができるのか、パイの取り合いがますます激しくなるのは必定だ。

 

 

 

つづきはWANDS2019年1月号をご覧ください。1月号は「ブルゴーニュワイン、イタリアワイン、ウイスキー」特集です。

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