ワシントンワインの鬼才 チャールズ・スミス・セミナー

ワインズ・オブ・サブスタンスとK ヴィントナーズのオーナー兼ワインメーカー、チャールズ・スミスが来日し、輸入元のオルカ・インターナショナル主催でワインセミナーが行われた。

 

夢だったワイン造り

チャールズ・スミスは、デンマークのロックバンドのマネージャーを12 年間務めていたという異色の経歴を持っている。

しかしその一方、19歳でレストランのウェイターを経験し、25歳の時にリッツ・カールトンのワインディレクターに就任し、その後ワインショップを経営するなどワインとの関わりを持ち、自前のワインを造りたいという夢を抱いていた。

高校を卒業していない彼は、誰よりも多くワイン関連書籍を読み漁り、知識を補ったと言う。

 

夢をかなえるためワシントン州に戻り、1999 年ファースト・ヴィンテージのワインが出来上がる。その後、銀行からの融資を得てワイナリーを設立。2019年はワイン造りを始めてから20周年目にあたる。彼の作ったワインは、Wine Spectator やWine Enthusiastなどの雑誌で数多く高得点を出している。

 

チャールズ・スミスの信念

ロックミュージック出身のチャールズ・スミスのワインは、ラベルですぐに本人の物とわかってもらえるデザインだ。しかし、そのワインは、100%サスティナブルで、バイオ・ダイナミック栽培のブドウを使っており、見た目とは大きく異なるスタイルである。ブドウ栽培には化学品を一切使用せず、発酵は天然酵母を使用し、自然に近い形でワインを造っている。

「葉や果梗も含めて全てがブドウであり、それぞれを切り離すことは正しくない」という考え方に基づき、白ワインは100%全房発酵。赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロなどボルドー品種は破砕せずに粒をそのまま使用する。シラーやムールヴェードルやグルナッシュなどのローヌ品種は全房発酵を採用している。このルールは常に変えない。ブドウは全て完熟したものを使用するため、果梗が熟していないという心配はないという。

 

スミスのワイン造りは、できる限り人の手を加えない。発酵工程の澱や沈殿物は取り除かないし、バトナージュもしない。

「ワインは自身で自然に変化していくのであり、ワインメーカーはそれを信じる事が大切。ワイン作りはダンスと一緒である。一人がリードをしたら、もう一人がサポートをする。大切なのはハーモニーだ」。ブドウが主体で、スミスの仕事はサポートすることだという。だからワインは毎年違うものに仕上がっている。

 

また、ワシントン州を表現するワインを造りたかったとも話す。より細かい地域のAVAを名乗れるにもかかわらず、ワシントン州のワインを広めるために、あえてラベルには「ワシントン」とだけ表示することもあるそうだ。(M.Inaoka)

 

続きはWANDS2019年2月号をご覧ください。
2月号は「ビール、WANDS400号のあゆみ、ジョージアワイン」特集です。
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