NAGANO WINE FES IN TOKYO 県内30ワイナリーが出展

↑新規ワイナリーのひとつ、ル・ミュウの塩瀬剛、斎藤翔両氏↑

 長野県、長野ワイン協会、NAGANO WINE応援団運営委員会の共催による長野ワインの試飲会「NAGANO WINE FES IN TOKYO」が2月3日に帝国ホテル東京で開催された。東京での開催は通算で6回目となる今回の試飲会には初出展ワイナリーを含め30ワイナリーが参加。午前中に開催された200名限定の事業者向け試飲会は事前申込みでチケットが完売、午後の入れ替え制二部形式で行われた一般消費者対象の試飲会も各回300人限定がほぼ満杯と、最近の長野県産ワインに対する人気の高まりを反映した盛況ぶりを見せた。

長野県では、アルカンヴィーニュや長野ワインアカデミー、塩尻ワイン大学で研修した新規就業者を中心に新しいワイナリーが続々と誕生。2018年には新規ワイナリーが7軒誕生し、2019年1月現在のワイナリー数はすでに45。さらに今年も、メルシャン椀子や、すでに委託醸造を行っている数軒が自らのワイナリー開設を目指していると伝えられる。2020年までには50ワイナリーを超える勢いだ。

今回初出展したワイナリーのひとつ、「Le Milieu」は安曇野市明科で2018年11月に免許を取得し醸造を始めたばかりのワイナリー。自社畑2ha弱ではカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シャルドネ、ピノ・グリ、リースリングなどを栽培している。初醸造し出展したワインのひとつ「Polaris 竜眼2018」は果実の風味が豊かでバランスの良いワイン。「SO₂を極力抑え、自然でクリーンなワインを目指している」と、代表の塩瀬豪氏。

一方、塩尻と松本の間に位置する大池ワイン(Taike Wine、有限会社むかいや)はヤマ・ソーヴィニヨンを栽培する藤沢啓太氏が興した山形村初のワイナリー。2015年から自社醸造ワインをリリース。山形村産のふじリンゴを使ったシードルも醸し、村おこしの一翼を担っている。

長野ワインフェス会場風景

 

日本ワインの主産地のひとつとして熱い注目を集めている長野県だが、課題が全く無いわけでもない。ひとつはワイナリー数の増加に対して受け皿となっている需要の伸びが追いつきにくくなり、流通レベルでは県内産ワインなら何でも引き受け、完売させられる状況ではなくなりつつあること。質と価格のバランスがこれまで以上に問われるようになってきた。

また、長野では歴史的にナイアガラやコンコードなどラブルスカ系品種の栽培比率が高いが、こうした品種の受け皿となってきた新酒などが、2月から発効したEUとのEPAに伴い、さらに安くなった欧州産低価格ワインに伍してどこまで価格競争力を保持できるか正念場を迎えつつある。

もうひとつの課題は、山梨、北海道に続くGINAGANO制定の行方で、長野ワイン協会では昨年中にGI検討会を立ち上げて協議を進めている。

「長野県では、2002 年に長野県原産地呼称管理制度(NAC)を立ち上げ、厳しい認定基準を設けることで長野産ワインの品質向上に貢献してきた。これに対して、GI括りはもう少し広く浅いものになるだろうが、NACとGIとが併存すると消費者は混乱するのでないかとの声もある。ワイン協会にはアウトサイダーもおり、まずはGI 制定のメリットや実際の運営のありようについて県内ワイナリー全体の認識を一致させる必要がある。早ければ6 月の総会で意思統一をはかり、そこでやろうとなれば2020年からでもスタートさせたい。それに向けて、関係当局もサポートしてくれる意向だ」と、ワイン協会理事長を務める菊池敬氏(林農園取締役専務)は語っている。

 

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