E.ギガルの新ドメーヌ 歴史あるシャトーヌフ・デュ・パープ シャトー・ド・ナリス

ローヌの大御所ギガルは、エチエンヌ・ギガルが1946年に創業して以来ずっとシャトーヌフ・デュ・パープを造り続けてきた。実はE. ギガルはシャトーヌフ・デュ・パープの中で最大の生産者でもある。しかし、長きにわたりドメーヌを手にすることはなかった。そしてこの20年ほど探していたところ、2017年に好機に恵まれ最も長い歴史あるシャトーのひとつであり名声高いシャトー・ド・ナリスを傘下に収めることになった。

E. ギガルとしての最新ヴィンテージがちょうど日本に到着した。

 

16世紀からの歴史と高名な畑

シャトー・ド・ナリスNalysの敷地は16世紀末にすでに台帳に記されており、ワイン造りも行なっていたという。そして当時からずっと、シャトーヌフ・デュ・パープで許されている13品種をすべて栽培し続けている。1633年からフランス革命まではジャック・ナリNalisが所有しており、畑はシャトーに隣接する赤い砂岩土壌の一か所だけだった。

その後、地元の名士が7世代に亘り継承することになる。ちょうど7代目は女性で医者のフィリップ・デュフェと結婚したが、そのフィリップがたいそうワインに熱心で、畑を買い足し地所を2倍にしたうえ、海外へも販路を拡大するなどドメーヌの発展に大いに貢献した。ところが、その息子が事故で若くして逝去したため、保険会社へ一切を売却することになってしまった。

しかし、もともと所有していた畑”Nalys”の他に、”Le Bois Sénéchal”と”La Crau”を購入しており、後者2か所はいずれも「ガレ」という名で知られる大きな丸石が積み重なったこの地域ならではの土壌である。特に「ラ・クロー」はシャトーヌフ・デュ・パープ最上の畑として知られている。例えば、ヴュー・テレグラフ、アンリ・ボノー、シャトー・グロ・カイユなども所有している畑だ。

現在畑は合計で60haあり、ギガルが購入してから畑でも醸造所内でもファイン・チューニングが行われている。

 

キュヴェは赤白ともに2種類にわけられている。どちらもとても綺麗な造りだが、それぞれ個性が異なっている。サント・ピエールは果実の風味がストレートに感じられ若くからでも楽しめるタイプで、シャトー・ド・ナリスは大変凝縮度が高いため数年寝かせるか早めの抜詮・デキャンタなどの工夫をしてじっくり時間をかけて向き合いたい。

以前から評価の高いドメーヌではあるが、ギガルが手塩にかけたキュヴェがリリースされる今後がますます楽しみだ。

 

Saintes Pierres de Châteauneuf-du-Pape Blanc 2017

ル・ボワ・セネシャルの畑の、グルナッシュ・ブラン、クレーレット、ブールブーランの3品種ほぼ同量がブレンドの主体となり、樽熟成を施したルーサンヌとピカルダンを少量。醗酵はステンレスタンクを使用している。

蜂蜜や白桃などのとてもフレッシュな香り。ふくよかさも感じられるが爽やかな酸がはっきりとしている。テンションが高く、若々しさがみなぎっている。

 

Châteauneuf-du-Pape Blanc 2017

3つの畑のぶどうをおよそ同量使用しており古木が中心となる。ルーサンヌが主体で、ついでグルナッシュ・ブランとクレーレット。そして少量のブールブーランとピクプールでフレッシュさを与えている。3分の2は樽熟成を行なっている。

より熟度の高い白桃、洋梨、柑橘ピール、バニラなど香ばしさも感じる、豊かで複雑性のある香り。厚みがあり、ふっくらとしてボリューム感があるが、酸とミネラルが芯となり大変若々しい。デキャンタすると華やぐだろう。

 

Saintes Pierres de Châteauneuf-du-Pape Rouge 2016

こちらも3つの畑のぶどうをおよそ同量使用。グルナッシュがブレンドの3分の2を占め、シラーが4分の1、残りがサンソー、ミュスカルダン、クノワーズ、ムールヴェードル。こちらはほぼステンレスタンクによる。

香りは閉じ気味ながら、ブラックベリー、ナツメヤシ、ドライイチジク、黒胡椒などがストレートに感じられる。ほどよい果実のなめらかさに、フレッシュな酸がジューシーさを醸し出し。タンニンは細やか。太陽のエネルギーが感じられる。

 

Châteauneuf-du-Pape Rouge 2016

こちらはラ・クロー畑のぶどうが主体で平均樹齢40年。グルナッシュが主体でシラーも大きな役割を担っている。その他に、ムールヴェードル、クノワーズ、ヴァカルスもブレンドしている。3分の1は大樽で18か月熟成させており、中樽、小樽も使用しているようだ。

大変濃い色合いで、よりスパイシーな香り。香りはまだ閉じ気味で、スパイス、プラム、イチジク、ブラックベリーなどの凝縮した香りが、次第にほどけてくるだろう。ボリューム感があり、豊かな味わいで、酸がいくぶんソフトに感じられる。タンニンのストラクチャーがしっかりとしており、後半からの勢いがある。こちらも太陽のエネルギーがみなぎっているが、まだ鍵がかかった状態だといえる。開き始めるのに数年かかるだろうか。 (Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

関連記事

ページ上部へ戻る