社名変更したシャトー酒折ワイナリー 商品構成を見直し、ラベルも変更へ

数年ぶりに山梨のシャトー酒折ワイナリーを訪問した。

甲府市内を眼下に望むワイナリー横の傾斜地に拓かれた自社畑はすでに剪定作業を終え、きれいに枝を刈り取られたブドウ樹が春の目覚めの時を待っている。この畑は、経験豊かな栽培家で、酒折ワイナリーにとって貴重なブドウの供給元のひとつである農業生産法人(株)i-vines(アイ・ヴァインズ)を主宰する池川仁氏自らが、社員の竹之内氏と息子の龍一さんとともに剪定を含む栽培管理を行っている。当初はピノ・ノワールやメルロも栽培されていたが、台風が過ぎてからでないと収穫が難しいこれらの品種を断念し、2011年にシラーに植え替え。現在は、シャルドネ19.5ha、シラー25.5ha、マスカット・ベーリーA12.5haが栽培されている。

木下商事(株)が運営するワイナリーとして1991年5月に誕生したシャトー酒折ワイナリーだが、今年1月1日からシャトー酒折ワイナリー(株)として再スタートを切った。ワイナリーの名前をこれまでの屋号から独立した法人組織名に変更した背景には、昨年10月からスタートした日本ワインの新表示基準とのからみがある。

酒折ワイナリーの原料ブドウは自園のほか、現在甲府市を中心に栽培を行っているi-vinesや峡東地域にあるKisvin、そして各地農協などから買い入れている。しかし、新表示基準では、ブドウの収穫地として表示できる地名は「隣接」した市町村に醸造地がある場合は認められているが、「近接」している場合は認められない。甲府市酒折町に所在するシャトー酒折ワイナリーの場合、例えば隣接地ではなく近接地である善光寺町のブドウを使えば誤認表示とされる恐れがあるからだ。こうした混乱を避けるため、永年親しまれてきた屋号としてのワイナリー名を改変することにした。今回の社名変更に併せて、今後は商品名を整理しラベルも変更。基本的に酒折ワインという名称はエステートワインに特化する意向だ。

井島正義氏

2018年における山梨の気候条件は梅雨の時期に雨が少なく乾燥していたものの、8月過ぎから長雨が続いた。結果、全般にブドウの成育は早かったものの、「作柄はエリアによってばらついている。近年、ブドウの成育が早まる傾向にあり、ヴィンテージの基準がつかみにくくなっている」(醸造責任者の井島正義氏)という。早生品種が多い甲府地区では甲州の作柄は2017年よりも良かったが、生食用中心に栽培している生産者だと収穫のタイミングが必ずしも醸造用の適期と合致せず、収穫スケジュールのコントロールが難しいといった問題もあるようだ。

すでにリリースされている 2018 甲州ドライは甲府、穂坂に加えて初めて笛吹市一宮のブドウを使った。ブドウ糖度は15度で、補糖をせずにアルコール分11%に仕上げている。果実味が豊かで、酸もきちっとしているのは一宮のブドウに由来。醸造時にフェノールの発生を抑えることにより、フィニッシュがきれいで、甲州特有のえぐみもあまり感じられない。

甲州ドライは酒折ワイナリーの看板商品のひとつ。2018年の販売量は2万7000本、今年は3万6000本まで増やす予定だ。「大きな感動を与える様なワインではないが、クリーンな飲みやすさを重視している。そういうワインがベースにあって、それからさらに上をいくワインをつくっていきたい」と井島氏は語っている。 (以下、略)

 

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