バローロ ブッシアの多様性を表現するアルド・コンテルノ

「バローロの個性は、多くの場合、村ごとに異なる。村ごとの土壌や微気候がワインの違いを生む」とフランコ・コンテルノは語る。

 

18世紀から続くジャコモ・コンテルノから独立し、1969 年に自身の名を冠したアルド・コンテルノを築いた父の跡を継ぐコンテルノ家の5 世代目。25ha の自社畑はすべてモンフォルテ・ダルバ村のブッシア地区に所有している。

 

「ネッビオーロはテロワールに忠実だという点でピノ・ノワールに似ている。私たちの畑があるモンフォルテ・ダルバやカスティリオーネ・ファレット、セッラルンガ・ダルバはヘルベチアン(セッラヴァリアン期)の粘土と石灰の土壌だから、厳格なタンニンで男性的。いっぽうラ・モッラやバローロは、より新しいトルトニアン期の砂の多い粘土土壌だからしなやかで女性的」。

 

しかし、とフランコは続ける。「だからと言って、ひとくちにモンフォルテ・ダルバはこういう個性と断定してしまうのは危険。たとえばブッシア地区は、カスティリオーネ・ファレットとバローロの中間に位置しているから、ヘルベチアンとトルトニアンの土壌がミックスしている。だからブッシア地区内であっても、畑によって土壌はわずかに異なる。ひとつの村、その中のひとつの地区の中でもワインには多様性が生まれる」。

 

その違いを表すため、アルド・コンテルノではレゼルヴァ以外のバローロはすべて同じ製法。長いマセレーションと大樽熟成という伝統派だ。

「バリックをテストしたこともあったが、樽の風味がテロワールの微妙な違いを隠してしまうからやめた」。

 

その違いをセミナーで使用したふたつの単一畑バローロは見事に表現していた。砂と粘土の割合がほぼ半々というコロネッロはシルキーなタンニンの華やかな味わい。粘土80%砂20%というチカラは重厚で骨太。同じ“ブッシア” にこんなにも違いがあったのかと驚く。

 

シャルドネも秀逸だ。「家族がブルゴーニュのシャルドネが大好きだったから」と、植樹を始め、1982 年が初ヴィンテージ。昨今は世界中で新樽率の低いフレッシュタイプのシャルドネが増えているが、「バローロのような長熟タイプが理想だから」と、新樽での発酵と熟成を貫く。(M.Nishida)

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