トスカーナ/由緒あるモンタルチーノの地主 カステッリ・マルティノッツィ

カステッリ・マルティノッツィの館には古い地図があった。かつて500haもの広大な土地を所有していた頃のものだ。現在のモンタルチーノの地図に照らし合わせると、その敷地内にあるワイナリーの名前に驚く。

 

<優れた立地条件>

かつて所有していた広大な領地の地図

カステッリ・マルティノッツィの住所は「ヴィッラ・サンタ・レスティトゥータ」とある。ブルネッロ好きなら聞き覚えがあるだろう。

モンタルチーノの丘の南西部の中腹部だ。この村(=villa)の名前は、モンタルチーノにあるアゴスティアーニ僧の修道院で保管されていた14世紀の羊皮紙の文書に既に記載がある。由緒ある村だ。シエナ出身のマルティノッツィ家が何世代にも亘りこの地所を守り、後にカステッリ家との婚姻により現在の名称となった。

1950年代まではこの村に50名もの分益小作人が住み複合農業を行なっていたと、現オーナーのチェザーレ・カステッリの孫にあたるフェデリコ・ナネッティが説明した。

今でも館の側には、昔使っていたオリーブオイルの搾汁、炊事洗濯などを共同で行っていた家屋が残してあり、古い道具も揃っている。養蚕も行っていたようだ。

かつての領地には、「カステッリ・マルティノッツィ」の他に、5つのワイナリーができている。設立年の順番に記すと、1964年からの「ファットーイ」、1965年の「カプリーリ」、1970年代初頭の「カーゼ・バッセ/ソルデラ」、1984年の「ポッジョ・アンティコ」、1994年の「ピエーヴェ・サンタ・レスティトゥータ/ガヤ」(前オーナーは1972年より)となる。

カプリーリだけは、1911年からこの村の敷地内で分益小作を行い1952年より現在の場所で葡萄栽培も手がけていたが、他の造り手はすべて畑の開拓から始めている。

「曽祖父の代から少しずつ敷地を売り始めた」とフェデリコは言う。当時はブルネッロにスポットがあたることなく、工業の発展が望まれ農業従事者が少なくなり土地が荒廃する一方だったからだ。(Y. Nagoshi)

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