「アンドレオーラ」リーヴェ(区画)ごとの個性を追求するヴァルドッビアーデネDOCG

土地に対する深い理解、伝統、最先端の技術と醸造学の知識、そして革新を巧みに融合させ、傑出したワインを生み出すワイナリー。それが、プロセッコ・ヴァルドッビアーデネ・コネリアーノDOCGのうち、ヴァルドッビアーデネ地区の中心に拠点を構えるアンドレオーラだ。

プロセッコDOCの生産エリアが平坦な土地であるのに対し、ユネスコの世界遺産にも認定されたプロセッコ・ヴァルドッビアーデネ・コネリアーノDOCGの生産エリアは丘陵地帯にある。そして、アンドレオーラのワイナリーとその畑がある西側のヴァルドッビアーデネ地区は、その中でもより標高が高いため、日較差がより大きい。そして、風が強いため湿度も低く、かつて海底だった場所が隆起した砂岩を主体とした岩がちな土壌が多い。その結果、出来上がるワインは全体的に涼しげなニュアンスの香味で、よりタイトなボディーのスタイルになりやすい。

2代目で革新をもたらしたステファノ・ポーラ氏。

その中でアンドレオーラが特別な理由は、彼らのリーヴェ(区画)へのこだわりにある。

4haの畑を所有する栽培農家だったナッザレーノ・ポーラ氏が、「アンドレオーラ・オルソラ」を1984年創業。そして、2009年から2010年にかけて父を引き継いだ2代目のステファノ・ポーラ氏が大きな改革を行い、畑は200か所で合計110haに広がった。全面的に刷新され、名称も「アンドレオーラ」と改名した。2014年に完成したワイナリーには立体地図が飾られており、複数のリーヴェの位置を示している。加えて区画ごとの土壌サンプルも見せ、リーヴェへのこだわりを表している。急勾配の区画、クリュの概念と同様の「リーヴェ」が正式に認められる以前から、彼らは区画ごとの違いに興味があったという。

ワイナリーの立体地図の前に立つステファノ・ポーラ氏。

ヴァルドッビアーデネの急勾配の丘は、素晴らしい景観を形成している。その一方で、ここでは常に特有なブドウ栽培が必要とされてきた。機械が入る余地はないため手作業が必須で、その労力は多大であり「英雄的ブドウ栽培」と呼ばれてきたという。忍耐強く、完全に手作業で何世紀にもわたり行ってきた急峻な丘陵地帯でのブドウ栽培は、困難なことであるが、アンドレオーラはこれを付加価値であると捉えた。この厳しい環境でのブドウ栽培の価値を表現したワイン造りを行うことにしたのだ。おそらく、アンドレオーラほど複数の「リーヴェ」を生産しているワイナリーは他にないのではないだろうか。

アンドレオーラは、「リーヴェ」を掲げるワインのリーダー的存在であるだけでなく、2010年にはCERVIN(山岳ブドウ栽培研究・調査・振興センター)に登録されたヴァルドッビアーデネDOCGの最初の生産者となった。CERVINは、1987年設立の国際機関で、「英雄的ブドウ栽培」の促進・保護、およびその識別基準の定義を行なっている。その基準は、30%を超える急勾配の斜面やテラスで栽培されている畑が含まれる。そして「英雄的ブドウ栽培 Heroic Viticulture」」ブランドを欧州にて登録しており、アンドレオーラの全てのDOCG製品のラベルに記載されている。

リーヴェによっては信じられないほど急勾配のため、ブドウの収穫期には滑車システムを使ってブドウを運搬しなければならないケースもある。

代表的なキュヴェを少し紹介する。

26 Primo Extra Brut

Valdobbiadene DOCG

Rive di Col San Martino Extra Brut

現当主ステファノの父の時代から造っている、初めてのリーヴェでアンドレオーラのストーリーの始まりともいえるキュヴェ。畑はワイナリーのある、ヴァルドッビアーデネのコル・サン・マルティーノに位置し、標高は400mほどと高め。土壌は石灰質が豊かな泥灰土で、急勾配の4haほどの畑から厳選したブドウを使用。。コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネDOCGで「エクストラ・ブリュット」がルールになる前からドザージュ・ゼロにしていた。「フレッシュな香りには白い花やモモが感じられ、クリーミーでエレガント」と、ワインメーカーのミルコ・バリアーナ氏。

 

Marna del Bacio

Valdobbiadene DOCG

Rive di San Pietro di Barbozza Extra Brut

こちらはヴァルドッビアーデネの中でも北部に位置する涼しい畑の一つで、「ヴァーティカルなセンセーションが感じられる。香りはカンキツ系の果実があり、フレッシュで生き生きとした酸が得られる」。標高は300〜350mで、円形劇場型の2haの畑のため向きは東から西まで。純粋な泥灰土壌で水はけと保水性に優れているため、水分ストレスに悩むことがないという。ここも急勾配で最大の斜度は80%にも及ぶ。

 

Aldaina al Mas

Valdobbiadene DOCG

Rive di Guia Extra Brut

2年前から造っているキュヴェ。サン・ピエトロ・ディ・バルボッツァの西側に位置している。全体で9haの畑がある丘で、高品質のブドウを産むことで知られており、そのうち1.7haを購入した。標高は250〜350m。下層は泥灰土で、上層は砂岩、そして「ビアンコーネ」と呼ばれる石灰岩が露出している場所もある。「春の白い花の香りと、塩っぽい味わいが特徴」。

「”26°1°”がクリーミー、“Marna Del Bacio” がヴァーティカル、” Aldaina Al Mas” が塩っぽいなど、同じブドウ品種でもリーヴェの違いにより異なる仕上がりであるのがとても面白い。また、アンドレオーラのワインはガストロノミック。ぜひ日本料理にも合わせてみてほしい」とバリアーナ氏は付け加えた。

現在アンドレオーラでは、9銘柄の「リーヴェ」シリーズを造っている。

(text by Y. Nagoshi)

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