CAVAとドザージュ

昨年11月に固有品種のひとつチャレッロの探求のために、カバのメッカであるペネデスを訪れた。今年は、プレミアム・カバの新カテゴリー「カバ・デ・パラヘ・カリフィカード」について取材をしようと思っていたが、まだ準備に時間がかかりそうだという。そこで、もうひとつ長年気になっていたドザージュの変化についてをテーマにし、訪ねることにした。

カバのゼロ・ドザージュのカテゴリー、ブルット・ナトゥールの逸品に出会ったのは15年ほど前だった。考えてみれば、シャンパーニュとはまったく気候風土が異なる。葡萄が成熟しやすいのだから、カバにはそれほどドザージュを必要としないのではないだろうか? と、単純に考えた。カバの造り手にはシャンパーニュで修業した人も多いため、シャンパーニュの造りにならい、ドザージュという習慣を続けているだけなのではないか? とも思った。

しかし、必ずしもそうではなかった。今回の訪問でわかったことをお伝えするとともに、訪問した14社の概要や方針をそれぞれ記載する。

 

*甘口から辛口へマーケット

複数の人が声を揃えていうのは、かつてカバを飲むのはデザートの時で皆甘口を好んでいた、ということだ。昨年訪問した「レカレド」はブルット・ナトゥールにこだわってきた造り手のひとつだが、父の代では売れなくて本当に苦労したと嘆いていたことを思い出す。辛口のスパークリングワインのマーケットがほとんどなかったから、甘口を主体に造っていたのだ(グラフ、表を参照)。

「1980〜90年ぐらいまでは、ドゥルセやセミ・セコのような甘口の方が主流だった。ブルット・ナトゥールのトレンドは、10〜15年前からby Codorniu」

カバは地元のカタルーニャでの消費がとても多いが、特に地元での辛口嗜好が近年急激に高まった。

「地元カタルーニャとベルギーからの要望で造り始めた。ブルット・ナトゥールはより質が高いと認識されるようになったことと、ヘルシーなイメージがあること、料理とともに飲むのによいと考えられるようになり需要が増えた。(by Valformosa)」

「今、特に地元ではブルット・ナトゥールの需要が多い。葡萄の出来が悪くても、糖分を加えれば違うフレーバーを与えられて欠点を隠せるから、と考える人が増えたのが理由のひとつ。また、ガストロノミーな時代、より純粋性や自然な産物を望む時代になってきているから。(by Rovellats)」

「カタルーニャで販売されているカバは今ほとんどブルット・ナトゥールだ。人気が上がり始めたのは20年ぐらい前からで、親の世代は今でもブルットより甘口が好きだ(by Giró Ribot)」

糖分添加量が少ないほど純粋だという考え方だけでなく、スペインでのガストロノミーの発展も大いに関連しているとわかった。確かに、特にブルット・ナトゥールは食事と共に飲むのが一番だ。(Y. Nagoshi)

つづき(ドザージュの理由/瓶熟成期間との関連性/ブルット・ナトゥールが究極のカバか?)と訪問記(アルタ・アレーリャ/コドルニウ/フレシネ カーサ・サラ/カスティージョ・ペレラーダ/コロメール/ジロ・リボ/グラモナ/モン・マルサル/リョパール/バルフォルモサ/パレス・バルタ/ペレ・ベントゥーラ/ロベジャ/ビラルナウ)につきましては、ウォンズ11月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

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