独自の哲学でコルシカワインを表現 ドメーヌ ペロ・ロンゴ

フランスには役人が赴任したくない場所が3つあると言う。アルザス、コルシカ、ブルターニュ。複雑な歴史ゆえフランス的な慣例が一筋縄では通用しないからだそうだ。ドメーヌ・ぺロ・ロンゴのオーナー、ピエール・リシャルムはアルザス人の父母のもとアルジェリアで生まれたコルシカ育ち。たやすく体制に迎合しない点では筋金入りと言えるだろう。

ピエールの父がコルシカ南部のAOPコルス・サルテーヌでブドウ栽培を始めたのは1965年。「サンソーやカリニャンなどの品種を、質より量を優先して栽培し農協に売っていた」と言う。ピエールが継いだのは94年。「やるからには自分の手でワインに仕上げたかったから」と、すぐさま除草剤など化学薬品の使用を中止し、土着品種のニエルチオやシャカレロ、ヴェルメンティヌを元のブドウに接ぎ木、もしくは新しく植樹した。「せっかく独自の品種やテロワールに恵まれた土地なのだから、それを最大限に生かしたかった」。2000年からはビオディナミに移行。「植物の自然な生育サイクルを大切にしたいから」と、摘芯も行わない。

 12haの自社畑では2009年から、枝を地中に埋めて新たな根と株を作るマコタージュで自根の樹を増やしている。「樹齢の古い樹の間に苗を植えると根が張り負けてしまう。ここは風化した花崗岩の砂質土壌だから少しならフィロキセラも大丈夫」。

醸造にはおもに3500lの卵型タンクを用いる。いろいろな材質や大きさの容器を試した結果、これが最良だったそう。ユニークなのは縦型ではなく横置きな点。「産み落とされた卵は横になっているから」。タンクは94年まで農業機械を作る会社にいたピエールの自作。

SO2にはエトナ山で産出された天然硫黄を自身で酸素と反応させて気化させたものを使用。「調整は難しいが、私自身、SO2に弱い体質だし、通常のものはどこか不自然だからこの方法を選んだ」と言う。

慣例に流されず、作業ひとつひとつに疑問を抱き、熟考し、自分なりの答えを出し実行に移す。こうして生まれたペロ・ロンゴのワインは、どれもコルシカワインの品種やテロワールを見事に表現している。

 

セレニテ SERENITE 2015 ヴェルメンティヌ100%

早く熟する斜面下部のブドウを手収穫し、卵型タンクで17℃で発酵し約9カ月後に瓶詰め。レモングラス、フレンチパセリ、洋ナシの香り。グレープフルーツの果皮のようなほろ苦いフレッシュなシトラス風味。余韻にほのかにハチミツも。  (Megumi Nishida)

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