コート・ドールを猛追する南部のアペラシオン その② コート・シャロネーズのAOCジヴリ

AOCジヴリは1946年に創設されたコート・シャロネーズの5つの村名アペラシオンのひとつ。生産量は約170万本でピノ・ノワールの赤ワインが約80%、シャルドネの白ワインが約20%を占める。約286haの作付面積のうち赤のプルミエ・クリュが122.3ha、白のプルミエ・クリュが14.6haで、プルミエ・クリュが全体の約48%を占める。2011年の見直しでプルミエ・クリュを名乗ることのできるクリマは28から38に増えた。ジヴリ栽培家組合リュック・イヴォン会長に話を聞いた。

 

ジヴリの栽培面積は40 年前とほとんど変わっていない。ジヴリがこれまで大きな不況を経験したことがないのは、需要に対して常に供給が下回っているからだ。需要が増えた時にアペラシオンの面積を広げ、その後、供給が需要を上回ると大きな災をもたらす。このことは多くの例が示している。残念なのは1980年~1990年代にかけて多くのクローンを植えたことだ。しかし、だんだんと引き抜き、伝統的なセレクション・マサルを使う方法に変わっている。もう一つ、この20年間の変化で大きいのは収穫量の切り下げだ。私が2001年にジヴリに来た頃から収穫量を下げ、濃縮した質の高いワインを作る方向に動き出した。その結果、徐々にワインの出荷価格も上がった。

 

ジヴリのアペラシオン領域は、ほとんど全てブドウ樹が植えられていて、今後増やす余地は残っていない。売りに出る畑も最近はほとんどない。直近の取引は約1haの未作付けの荒れ地で、これに19人の応募者があった。僅かな土地でも買い手が殺到することからジヴリの人気が分かる。

取引価格は1haあたり約10万ユーロ(約1300万)。家族経営のドメーヌが買って作付けしても収益を得ることができる妥当なものだ。作付け済みのプルミエ・クリュの畑の価格も15~20万ユーロで、10年前とそれほど変化していない。

 

醸造設備の改善、醸造技術の向上と同時に、葡萄栽培に対するアプローチも変わってきた。ワインはまずブドウ畑の仕事から始まると、みなが考えるようになったからだ。多くの人が環境を重視したリュット・レゾネに取り組んでおり、ビオ栽培に関心をもっている。しかし、2016年の春の天候不順によるベト病の蔓延は、多くの栽培家にこれまで経験したことがないような被害をもたらした。農薬散布を頻繁に行っても被害を食い止めることは難しく、ビオに固執した栽培家は完全に収穫を失った。ビオ栽培を諦めて農薬使用に戻った人もいる。本当にビオ栽培の限界をみた。

 

ジヴリでは機械摘みが30%、残り70%が手摘みだと思う。収穫葡萄の質が良いときは機械摘みでも手摘みでも変わらないが、選果作業の必要な時は手摘みが有利になる。機械摘みの欠点はブドウ樹を傷めて寿命を縮めることだ。30年から長くても40年ごとに植え替えなくてはならない。手摘みなら樹の寿命はその倍になる。

ジヴリを生産している個人醸造家は約80人。しかし、ジヴリ村に住んでジヴリを生産しているのは20人くらいで、残りはメルキュレーなど周辺の村に住んでいて、ジヴリとともに別のアペラシオンも栽培している。

 

5年ほど前にプルミエ・クリュの境界を見直し一部をプルミエ・クリュに編入した。プルミエ・クリュはほぼけりがついたが、いまドメーヌ・デュ・セリエ・オ・モワンヌから、プルミエ・クリュ・クロ・デュ・セリエ・オ・モワンヌをグランクリュに格付けし、1本100ユーロで販売したいという話が出ている。ジヴリの畑はほとんどが粘土石灰質土壌だが水捌けの違いがある。特に2017年は夏が猛暑で乾燥していたので、北部のプルミエ・クリュ・クロ・ジュスなどで干ばつの被害が出た。一方、少し低い場所にある粘土質の土地は保水力があるので助かった。

 

ジヴリのワインの特徴は絹のようなテクスチャーと繊細な味わいにあると思う。例えば、同じコート・シャロネーズのメルキュレーはとても力強く骨格のしっかりした男性的なワインだが、ジヴリはエレガントでしばしばヴォルネイに似ていると言われる。ジヴリは様々な料理に合わせやすいと思う。

平均的な個人向け販売価格は最も安いジヴリ・ヴィラージュで8ユーロ、高いもので14~15ユーロ。プルミエ・クリュは10~30ユーロまで。ジヴリの生産は限られている。質の良いワインを作り隙間市場を狙った栽培家はうまくいっている。最近、コート・ドールのワイン不足を補うために、新しい客がジヴリのワインを探しに来るようになった。輸出はまだヨーロッパ諸国に限られている。(T.Matsuura)

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