勝沼ともゆかりのあるシャンパーニュ南部モングー村のジャック・ラセーニュ

当主のエマニュエル・ラセーニュは、来日したときにいの一番で勝沼へ向かった。昨年初リリースしたプレステージ・キュヴェ「クロ・サン・ソフィー 2010」のラベルはよく見ると菊の花の模様が描かれているとわかる。これも日本と関連性があるという。

日本とのつながり

シャンパーニュ地方の南部にあるオーブ県のモングー村にジャック・ラセーニュはある。

日本とモングー村の関係は、明治時代まで遡る。1876年(明治10年)に、高野正誠&土屋龍憲青年が醸造と栽培についてフランス留学した際、モングーの中央にある「クロ・サン・ソフィー」に農業試験場をもち果樹の栽培研究をしていた農学者のシャルル・バルテ氏のもとへ向かった。バルテは何冊も書籍を出版し国際的に有名な人物だった。2年間に亘り接木や剪定について、ブドウ品種について学んだ後、100本の苗木を日本に持ち帰った。「当時はここにはシャルドネは植わっておらず、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、グエ・ブラン、グエ・ルージュ、ガメイなどが栽培されていたようだ」とエマニュエル。今でも交流は続いており、何年かに一度は勝沼から中学生が研修に来ていて3年前にはジャック・ラセーニュも訪問しているという。

「クロ・サン・ソフィー」に描かれている菊は、シャルル・バルテが勲章を授与されたお礼として、明治天皇のために品種改良して新たに生み出した菊を贈ったことに因んでいる。

 

ユニークなキュヴェ

モングー村は地図で確認すると、ちょうどコート・デ・ブランからまっすぐ南にくだった場所だ。近隣にある都市はトロワで、そのすぐ西にある。小高い丘を「クレ」と呼んでいるが、それはコート・デ・ブランよりも古い白亜質だ。だから南部といえども、モングーにある合計215haのブドウ畑のうち90%にシャルドネが植えられている。

「フィロキセラの後にモングーで白ワインと赤ワインを造っていたと聞いている」と、エマニュエル。1940年以降にこの地にはシャルドネがよいと言われ、植樹が始まった。エマニュエルの父ジャックは、この生まれ故郷の潜在能力を見出し、兄弟4人で植樹をし始めた。ゼロからのスタートだった。父の代にはブラン・ド・ブラン1種類しか造っていなかったが、エマニュエルに代替わりしてからいくつも新しいキュヴェにチャレンジしている。自社畑は4haほどで9区画あり、すべてシャルドネだ。(Y.Nagoshi)

 

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