- 2026-8-11
- NEWS, Wine, Wines, フランス France, ブルゴーニュ Bourgogne

ブルゴーニュ、プレモ・プリセに拠を構える名門ドメーヌ・ド・ラ・ヴジュレーから、恒例のニュースレター「ラ・レットル」第79号(2026年夏号)が届いた。今号は記録的な猛暑に見舞われたブドウ畑の様子を中心に、蜂蜜の収穫や収穫準備の進行状況が詳しく報告されている。
記録的な猛暑と乾燥ストレス
2026年は例年になく早熟な年となった。6月22日から続く未曾有の熱波により、気温は40度近くまで上昇。夜間はやや涼しいものの、樹勢が強靭なブドウ樹も水ストレスに苦しみ、葉が黄化する日焼け症状が目立ち始めているという。特に若木への影響が顕著で、ヴージョ・クロ・ブランの若い区画、ジュヴレ・シャンベルタンの下部区画、ピュリニー・モンラッシェの一部、そしてビヤンヴニュ・バタール・モンラッシェなどで乾燥の爪痕が確認された。7月上旬には約10日間ブドウの生育が完全に停止する場面もあったが、7月13日頃からピノ・ノワールの色づき(ヴェレゾン)が始まった。
栽培面では明るい材料もある。乾燥した気候のおかげで畑は非常に健全で、病害はほぼゼロ。硫黄と銅による防除処理も、ピノ・ノワールで6回、シャルドネで7回と最小限に抑えられた。収量については1ヘクタールあたり35~40ヘクトリットルと見込まれているが、ピュリニーでは若干の花振るいも観察されており、今後の降雨次第で状況は変わりうるとしている。収穫時期は8月中旬と、これまでで最も早い見込みだという。
畑作業のダイジェスト
5月中旬から誘引作業が始まり、5月末から7月末にかけては摘葉を伴う芽かき(ロニャージュ)を実施。果実に日陰を作り日焼けを防ぐため、樹高は1.4メートルに調整された。隣接するヴージュ川から果実を狙うカモ対策として、7月6日にはクロ・デュ・プリウレの区画に防鳥ネットが設置された。全区画で畝間の耕耘が行われ、下草刈りも6月末に完了している。
手作業による中耕(ピオシャージュ)は今年も骨の折れる作業となった。猛暑の中で伸び続ける野バラやアザミとの格闘だったが、栽培チームは朝5時30分から午後2時までという変則的な時間帯で作業をやりくりし、予定通り最後の防除処理も完了させたという。
セラーでの準備:収穫に向けた総力戦
収穫を約1か月後に控え、セラーチームは臨戦態勢に入っている。8月10日からはブドウ畑での糖度測定などのサンプリングが始まる予定。収穫期のセラーチームは約15名、畑作業チームは約20名体制で臨む。
新樽は今年130樽を導入。すべてシトー修道院の森から選定したオーク材を使用し、ドメーヌ内で3年間乾燥させた後、3つの異なる樽職人によって仕上げられたものだ。新樽比率は約20%を維持している。すでに樽への「馴らし」作業が始まっており、醸造用タンクも同様に水分を含ませる作業が進行中とのこと。白ワイン用・赤ワイン用それぞれ選果台と振動選果台の点検も完了。空気圧式プレス機と垂直式プレス機の整備、収穫容器1200箱の在庫確認も済ませ、あとはセラー全体の清掃を残すのみとなっている。
2025年ヴィンテージ、初のボトリング
熟成11か月を経て、2025年ヴィンテージの一部がついに瓶詰めされた。赤・白両方を造るキュヴェの「テール・ド・ファミーユ」「コート・ド・ボーヌ」、そして「ボーヌ」「サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン」が対象で、瓶詰め作業は7月6日の週に実施、生産本数は5万本。全体として果実味豊かでバランスの取れたヴィンテージに仕上がっているとの評価だ。コート・ド・ボーヌはミネラル感、ボーヌは円やかさ、サヴィニーはミネラルと豊かさの中間的な性格を見せているという。残る村名・特級クラスの瓶詰めは12月に予定されている。
7月8日、ニュイ・サン・ジョルジュで発生した火災は地域に衝撃を与えた。ショー高台にあるドメーヌの畑のひとつも延焼の危機に瀕したという。フランス南部特有とされてきた山火事のリスクが、ついにブルゴーニュ北部にも及んだ形で、ドメーヌは気候変動への適応の必要性を改めて強調している。
また、素朴なエピソードとして、栽培責任者カンタン・セギ氏が兼業養蜂家として管理する巣箱から採れた夏の蜂蜜の話題も紹介されている。6月26日に採蜜されたこの蜂蜜は、春の白く濃厚な蜂蜜とは対照的に、液状で透明感のある色合いが特徴。250gの瓶63個分、計15.75kgを瓶詰めしたという。
なお、ドメーヌ・ド・ラ・ヴジュレーの全ワインはオーガニック(ビオロジック)認証を取得している。今号では季節のおすすめワインとして、コート・ド・ボーヌ「レ・ピエール・ブランシュ」白2023、バタール・モンラッシェ・グラン・クリュ2022、シャルム・シャンベルタン「レ・マゾワイエール」グラン・クリュ2021の3本が紹介されている。
酷暑という試練の中でも健全な畑を守り抜いたヴジュレーの姿勢は、今後さらに深刻化する気候変動下でのブルゴーニュ栽培のあり方を示唆する好例と言えるだろう。次号では収穫の様子が報告される予定だ。
(Toshio Matsuura)


















最近のコメント