エラスモに間借りして造るガラージュワインのVIGNO

カナダからスキーのインストラクターとしてやってきたデレック・モスマンが、たびたびチリに来ているうちにマイポでワインを造るようになり、そのうちマウレにやってきて4 年前にサウサルのヴュー・カリニャンを見つけた。いまは、サウサルの数軒の小さな栽培家からカリニャンを購入している。この他にマウレとイタタで7 か所の小さな畑と契約している。マイポには2区画の契約畑がある。

 

サウサルの畑は、かつて川が運んだと思われる砂の多い表土で、これが3~4mの深さになるところもある。海岸山脈の中に入ると表土は崩積土に変わりもっと薄くなる。その下層が岩盤になっている。

 

エンペドラド村でミゲルの所有するトゥルキレム畑は最も海に近い。2016 年の春は遅霜の被害が大きかったので2017 年産は骨の折れる年になるだろうとデレックが顔を曇らせた。ミゲルの話によると、今年はブドウの20%を霜で失った。それでも副芽を活かして何とか修復に努めているという。通常、ガラージュワインのVIGNOは17 樽の生産だが、今年は14 樽になればいい方だろうとデレックが言う。

 

フランチェスコ・チンザノ(レセルバ・デ・カリボロ)の醸造所の一角を借りてワインを造っている。ステンレスの開放タンクで発酵。ホールバンチ。自然酵母でSO² は使わない。エクステンデッド・マセレーションはしない。マロラクティック発酵は延々と8か月かけてクリスマスまで続く。SO² を入れて樽熟成、二冬熟成する。熟成樽はアルマビバの古樽を購入している。11 月にボトリング。

 

【ガラージュワインVIGNO DATA】

生産年:2013

品種:カリニャン100%

生産地区:サウサル

熟成:バリックで二冬を越す。

ワイン:アルコール分13.5%、pH3.34、総酸度6.7g/ℓ

醸造家:ピラール・ミランダ、アルバロ・ペーニャ

テイスティング:2011 年から2014 年までヴァーティカル試飲。2013 年産が最もはっきりした方向性を持っていた。フローラル、赤い新鮮なフルーツの香り。やさしい口当たりで、口中にも赤いフルーツがあり、タンニンはソフトで滑らか。とても瑞々しくてエレガント。

(K.Bansho)

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