特集 長野ワイン/メルロ、カベルネ、シャルドネ 長野をしっかり表現するブドウ品種は何か

信州・長野県は、その地理的文化的なまとまりで北から南に向かって北信、中信、南信の三地方に分かれ、これに千曲川上流域の東信地方を加えた四地方で構成される。ブドウ畑は南信の天竜川流域にも少しみられるが、主な産地は千曲川流域の北信、東信と、桔梗ヶ原、安曇野などの中信地方に集中している。

 

<長野の地形と気象>

国土地理院の撮影した空中写真を見ると、長野は山がちの地形で、北西の北アルプス、南東の南アルプスの標高が高く、2,000m~3,000m級の山々の連なる日本の屋根である。その急峻な山間にいくつかの平地が形成されていて、その斜面を利用してブドウが栽培されている。長野ではこの平地を、地名の後に「平(たいら)」をつけて松本平、佐久平、善光寺平などと呼んでいる。

山に囲まれた内陸性気候で、気温の日較差や年較差の大きいことが特徴だ。冬は気温が下がって寒さは厳しくなるが、春が足早に訪れ3月~5月にかけて急速に気温が上がる。夏の日差しは強いが高地の冷気が暑さを緩和してくれる。9月からの気温の下降は急激で、10月半ばには寒くなる。標高の高い地方の晩熟ブドウはなかなか完熟しない。

長野の降水量は、雨の多い日本の中では比較的少ない地域である。山に囲まれているため、低気圧、前線などの影響を比較的受けにくいからだ。内陸地は空気が澄んでいて雲が発生しにくいので、国内では瀬戸内海と並んで日照時間の多い地域である。

 

<ブドウ産地の地勢と土壌>

北信という言葉に惑わされてはいけない。長野県にあっては、「北」が最も寒いわけではないからだ。千曲川は東信の佐久平、上田平と流れ、北信の長野市(善光寺平)に入って北へ向かい県境を越えて新潟県に入ると名を変えて信濃川になる。したがって東信の方が北信より標高が高い。

一方、槍ヶ岳に源を発する梓川は、中信の松本市で奈良井川と合流し犀川になる。奈良井川は塩尻市の最高峰・茶臼岳に水源がある。ここから北側で降る雨は北上して日本海へ注ぎ、南側で降る雨は南下して太平洋へと注ぐ。塩尻が分水嶺である。犀川はさらに北上して長野市で千曲川に合流する。

この河川の流れから土地の標高の高さを類推すると、中信、東信、北信の順に標高が低くなることがわかる。ちなみに主な町の標高は塩尻(中信)750m、松本(中信)600m、小諸(東信)600m、上田(東信)500m、長野(北信)370mである。気温差は一般に標高100mで1℃異なると言われるから、桔梗ヶ原は長野より平均気温で4℃ほど低いことになる。

ブドウ栽培地は、三地方とも主に河川に近い河岸段丘上か段丘崖に位置している。土壌構成は表土が粘土や黒ボク土で覆われていて、下層には礫や岩石が多い。それぞれの畑の立地によって表土の厚さと粘土の強弱が異なり、ブドウ樹の根の張り方に大きな違いがみられる。また、東信地区の耕作地にはブドウ畑に限らず、浅間山の噴火に伴う火山灰などの堆積物がみられる。

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