クレア・ヴァレーのテロワールを表現する 家族経営ワイナリー WAKEFIELD

「南オーストラリア州の2011年はテリブル・ヴィンテージで、ブドウの成育期は雨また雨の連続だった。ブドウは糖度の乗りが悪く、灰カビがたくさん付いた。この年、テイラー家では全てのワインを格落ちさせ、エステートワインは造らなかった。数百万豪州ドルもの損失となるが、(品質をたゆまず維持するように努めれば)10年後には必ず取り戻すことができる、というのがCEO のミッチェルの判断だった」と、テイラーズ・ワインのエクスポート・ゼネラルマネージャー、ニール・ハドレーMW は語る。

ニール・ハドレーMW

Wakefield(ウェイクフィールド)ブランドの製造元、テイラーズ・ワインは南オーストラリア州の州都、アデレイドから北へ約100Km離れたクレア・ヴァレーに在る。シドニーでワインマーチャントを営んでいた故ビル・テイラーSr.が1969年に興したワイナリーだ。現在は3代目にあたる長兄ミッチェルがCEOを務めるほか、クリントンがワイナリー・オペレーション、ジャスティンがハドレーMWとともに輸出部門担当と、家族経営を貫いている。たった12家族しか入会が認められていないAFFW(Australia’s First Family of Wine)の創設メンバーのひとりで、国内外で年間170以上もの金賞を受賞するプレミアムワイナリーでもある。

 

南オーストラリア州の西側の海岸線に沿った海底はカルシウムを大量に含んでいる。それがプレートの圧力によって何十億年もかけて持ち上がり、北へ北へと移動しつつ石灰岩土壌を築き上げてきた。マウントロフティレンジの北端に位置するクレア・ヴァレーも芯土に石灰岩が横たわるテラロッサ土壌。Wakefield のラベルに使われているタツノオトシゴのエンブレムは、灌漑用のダムを造る際に発掘された化石に因んだものだ。

クレア・ヴァレーは日照に恵まれ温暖気候下にあるが、夏場は日中の気温が28~30℃まで上がるものの、夜になると10℃まで下がる。澄明な空気とこの大きな日較差が、豊かでピュアな酸を保持しながら引き締まったタンニンの成熟を促している。

 テイラー家はクレア・ヴァレー南部、付近をウェイクフィールド川が流れる標高約350mの丘陵地帯に、延べ768haにおよぶ広大な自社畑を所有。区画によって土壌と斜面の向きや角度が異なり、それに応じて品種や仕立て方を変えて栽培している。かつてUCディヴィスのクローンを使っていたシャルドネは、ディジョン・クローンに植え替え。20~30年を経て栽培上の問題が出てきた古いブドウ樹はいったん伐採し、地味の回復を図っている。また、ワイナリーでは高品質な空圧式圧搾器を導入し、白ワインは破砕せずにプレスだけ。それによって、リースリングやシャルドネの品質は飛躍的に向上したという。

ウェイクフィールドは基本的にクレア・ヴァレーに特化し、テロワールを反映したワイン造りを目指しているが、その他にも次のような特徴がある。①トップレンジのシラーズ用に毎年30~50樽を選んで赤ワインの樽発酵を行い、手でプランジング。バクテリアの繁殖などのリスクがあるが、テイラーズ・ワインで15年間働いてきたチーフワインメーカーのアダム・エギンスが細心の注意を払って醸造を行っている。②ブルゴーニュのメゾン・ルイラトゥールを通して“ロールスロイスのような”新樽を購入し、1~2年使用。③裏ラベルに温度センサーが付いたバーを印刷し、飲み頃の最適温度を表示している。このセンサー付きバーは、白はグリーン、赤は紫色で、温度に応じて濃淡が変化する。「一般に赤は温度が高すぎ、白は冷やしすぎで飲まれることが多い。是非、適温で飲んで欲しい」と、ハドレーMW。

 

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