宮嶋勲の2019年お勧めワインはこれだ!

今年もイタリア各地での試飲をベースに、リリースされる予定のイタリアワインを紹介させていただく。

 

2018年ヴィンテージ

まず収穫の終わった2018 年だが、総生産量は5260万hl(前年比24%増)で、生産量の多いヴィンテージとなった。極端に収穫量の少なかった2017のせいで在庫が枯渇していたイタリアワイン産業もこれで一息つくことができそうだ。

冬から春は比較的雨が多く、干魃に苦しんだ2017とは対照的に土中に水分が蓄えられた。5月、6月は温度が高い上に雨が多かったので、ブドウ栽培家は病害対策に追われた。適切な対応が行われなかった畑ではべと病が蔓延した。7月、8月はかなり暑い時期もあったが、地方によっては激しい雨や雹も降り、気候があまり安定しなかった。9月、10月は北部では気候が安定して日照に恵まれた上に、昼夜の温度差が大きく、理想的な気候だった。

ネッビオーロなどの晩熟品種は良い出来で生産者は満足している。トスカーナなどのイタリア中部は雨も多く、それも地方により降雨量がずいぶん異なった。かなりバラツキのあるヴィンテージとなるだろう。南部、特にシチリアとサルデーニャは収穫時期に雨が降ったので生産者は苦労した。萌芽、開花、結実、収穫などの時期は平年通りで、ブドウの房は大きく数も多かった。

基本的には質、量ともに満足できるヴィンテージだが、偉大なヴィンテージというわけではない、というのが収穫直後の生産者の全般的な印象である。ただ近年イタリアでは冷涼でやや雨の多い年の方が、バランスのとれた優美なワインが生まれやすい傾向にあり、熟成によって評価が高まる可能性もある(2013などはその好例)。注意を持って見守っていく必要のあるヴィンテージであろう。

それでは州別に印象に残ったワインを紹介していこう。

フリウリのグラヴネルの畑

ヴァッレ・ダオスタ

年間生産量は約2万hl とイタリアで最も少ない州だが、ワインは他にはない個性的なもので非常に魅力的だ。スイス系の固有品種が興味深く、白ブドウのプリエ・ブランとプティタルヴィンの個性が際立っていて、今では州を代表する品種となっている。コルナラン、フミン、マイヨレ、ヴュイレルマンなどの黒ブドウからはスパイシーで厳格な山の赤ワインが造られている。国際品種のワインの出来も素晴らしく、シャルドネ、シラー、ピノ・ネーロなどはアルプスの麓の産地ならではのみずみずしさと優美さを持ち、非常にチャーミングだ。

2017 はヴァッレ・ダオスタにとって非常に厳しいヴィンテージとなった。4月の遅霜被害が激しかった上に、夏の猛暑と干魃で生産量は半減した。ブラン・ド・モルジェ・エ・ド・ラ・サルでは収穫がほぼ全滅という生産者もいた。

生産者の顔ぶれに目立った変化はないが、少しずつ世代交代は進んでいる。

Rosset Terroir Sopraquota 900 標高900mを超す畑のプティタルヴィンで造るワインで、標高が高すぎてDOCを名乗れないので、ヴィンテージ表記なしでリリースされた。シャープで、鮮烈な味わいでとても興味深い。数年前から息子ニコラスが加わってさらに活気づいている

Elio Ottin Petite Arvine 2017 見事なワインで、柑橘類と白い花のアロマが清らかで、フレッシュな味わい。後口に残る上品なミネラルが心地よく、まさにヴァッレ・ダオスタらしい白ワインだ。

シャルドネはすっかりヴァッレ・ダオスタに適応していて、優美なワインが生まれている。

Anselmet Chardonnay Main et Coeur 2016 凝縮感があり、みずみずしさを失わず見事。

Les Crêtes Chardonnay Cuvée Bois 2016 いまやヴァッレ・ダオスタの古典ともいえるとてもデリケートなシャルドネ。

Lo Triolet Fumin 2016 2016の赤ワインは出来がよく、赤い果実にタバコ、スパイス、なめし革のアロマが複雑に混ざる。このワインはその好例だ。

 

つづきはWANDS 2019年1月号をご覧ください。
1月号は「ブルゴーニュワイン、イタリアワイン、ウイスキー」特集です。
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