マァジ・アモーレ・アマローネ 50周年を迎えたカンポフィオリン

日欧商事はアマローネのスペシャリスト・マァジの愛好家を集めたワイン会「マァジ・アモーレ・アマローネ」を開催している。今回はマァジ・ファミリーのアレッサンドラ・ボスカイーニ女史が来日した11 月に、東京・人形町のイル・プロフーモで開かれた。

マァジはアマローネ造りのスペシャリストで、5 種類ものアマローネを造っている。今回のアモーレ・アマローネには、ふたつのクリュ・アマローネが用意され、単一畑の生み出す個性も併せて楽しんだ。

<カンポフィオリン>

それでもやはりマァジと言えばカンポフィオリンである。このワインはヴァルポリチェッラの在来種、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラで造る。しかもアマローネと同じように収穫ブドウの一部をアパッシメント(陰干し)してから醸造する。アマローネとの違いは、この地方に古くから伝わるリパッソという製法を採用していることだ。これはブドウを収穫したあと、①通常の赤ワイン醸造法で造ったワイン、②約6 週間のアパッシメントを経たブドウの二種類を用意し、①と②を3対1の割合で混合してから、ふたたびアルコール発酵を進めるもの。マロラクティック発酵を終えてスラヴォニアンオークの大樽とフレンチオークの小樽で熟成する。

マァジが初めてカンポフィオリンを造ったのは1964 年9月30日に収穫したブドウだという。この10日後に東京でオリンピックが開かれている。現在、日本で販売されているカンポフィオリンは2014年産で、ちょうど造りはじめて50回目のヴィンテージだ。だからマァジは2014年産カンポフィオリンのラベルとキャプソルに「50」の文字をプリントしている。

 

<2014 年カンポフィオリン>

2014 年産は雨の多い年で、マァジは収穫ブドウを選んでアパッシメントをしたけれど、アマローネを造らなかった。陰干しブドウはみなカンポフィオリンに回されたという。この年のカンポフィオリンは、不作の年のボルドー・グランクリュのセカンドラベルのような恰好だ。

明るいルビーレッドの色合いで、香りに強さがある。熟したチェリーやラズベリーなどの果実香に、リコリスなどの甘いスパイスの香りが混ざっている。味わいのバランスがよく構成もしっかりしている。滑らかなタンニンと活き活きした酸味があり、味わいと香りの余韻が長い。

テクニカルデータを読んで気になったことがある。この年のアルコール分は13%だ。全体量の4分の1(25%)とはいえ、陰干しブドウを加えたワインのアルコール分が13%に留まっていることに驚く。そして総酸度は5g/ℓである。だからとても味わいのバランスが良い。一方で、29g/ℓというドライ・エクストラクト値の高さが陰干しブドウを加えたことを物語っている。

 

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