- 2016-2-2
- Spirits
ホテル・バートップ銘柄は『山崎12年』
貯蔵年数表示の有力銘柄は高額でなかなか手が出なくても、ノンエイジ製品であれば少し奮発すれば日常的な贅沢酒として手が届く。こうして飲食店や自宅でもモルトウイスキーの飲用頻度(主にハイボールなど)はむしろ高まる傾向にある。一方、より個性的なモルトウイスキーを飲める場所は、ウイスキーバー、モルトバー、オーセンティックバー、ホテル・バーなどに限られつつある。
日本ホテルバーメンズ協会(HBA)が会員ホテル・バー76店を対象に行ったウイスキー人気(卓上数)ランキングをベースに、本誌が集計(点数化)したのが別表の通りである。
それによると、人気ランキングトップは『山崎12年』が断トツで、2位は『ザ・マッカラン12年』、3位は『竹鶴17年』、4位は『白州12年』、5位は『竹鶴21年』といずれも貯蔵年数表示のエイジもので、さらに『山崎18年』『ザ・マッカラン18年』などの高額品が上位を占めている。
HBAウイスキーランキング
順位 | 銘柄 | 点数 | 出現率 | 順位 | 銘柄 | 点数 | 出現率 |
1 | 山崎12年 | 219 | 73.7 | 10 | バランタイン17年 | 34 | 14.5 |
2 | ザ・マッカラン12年 | 122 | 55.3 | 11 | ザ・マッカラン18年 | 31 | 15.8 |
3 | 竹鶴17年 | 116 | 38.2 | 12 | 山崎18年 | 27 | 11.8 |
4 | 白州12年 | 89 | 35.5 | 13 | ジャックダニエル・ブラック | 26 | 15.8 |
5 | 竹鶴21年 | 82 | 35.5 | 14 | 竹鶴ピュアモルト | 19 | 6.6 |
6 | I.W.ハーパー12年 | 63 | 34.2 | 15 | ラフロイグ10年 | 16 | 13.2 |
7 | シーバス・リーガル12年 | 57 | 27.6 | 16 | 山崎(ノンエイジ) | 13 | 3.9 |
8 | 響17年 | 56 | 27.6 | 17 | オールドパー12年 | 11 | 10.5 |
9 | 余市12年 | 55 | 25.0 | 18 | ジョニーウォーカー・ブラックラベル | 9 | 5.3 |
注)HBA会員ホテル76店の卓上数ランキング(H26.4月~H27.4月の販売実績)を1位から5位まで、5点から1点で点数化。出現率(%)は5位ランキング出現率で、出現数÷76店×100%
注)HBA会員ホテル76店の卓上数ランキング(H26.4月~H27.4月の販売実績)を1位から5位まで、5点から1点で点数化。出現率(%)は5位ランキング出現率で、出現数÷76店×100%
インバウンド需要への対応を強化
日本のホテルは震災以降、集客数の減少で付帯するバーも縮小を余儀なくされ、喫茶やラウンジを広げるなどしてきた経緯がある。ただ、ここに来て訪日外国人観光客の大幅増加により、ホテルの稼働率が上がり、付帯施設であるホテル・バーの喫食率も高まっている。ホテル・バー関係者によれば、最近の傾向として、「欧米の観光客は食前や食後に必ずバーに立ち寄る習慣があるので、それだけホテル・バーの利用頻度も増える。アジアからの観光客の場合は、バーで飲んだウイスキーをお土産用にボトルで購入を希望するケースが増えている」という。
ホテルに限らず、2014年10月からの外国人旅行者向けの消費税免税制度拡充で、小売店では免税対象となる酒類の扱いを強化している。西武百貨店では専用コーナーを設けるなどして、インバウンド需要の取り込みを図っている。
アサヒビールの平野伸一副社長は「かつて日本人旅行客が海外でスコッチウイスキーをお土産用に3本買って帰ったのと同じ現象が国産ウイスキーで起きている。今はインバウンド需要が相当見込めるので、欧州を中心とした輸出や空港免税店などを軽視するという訳ではないが、当分は国内重視で取り組みたい」と語っている。敢えて日本から海外に売り込みにいかなくても、世界中から日本へ観光客が押し寄せている今だからこそ、これを千載一遇のチャンスと捉えて、訪日外国人観光客に対するホスピタリティとしての、いわゆる“おもてなし”を強化した方が合理的という判断はまさにその通りだろう。
アサヒビールは「飲食店おもてなしガイドブック」を作成し、接客の仕方や多言語対応のメニュー表などを用意している。
ホテル・バーでも過日、HBAとキリンビール共催で行われたヤングバーメンズカクテルコンテストでは、“おもてなし”をテーマに、審査員からは接客のプロフェッショナルとしてのバーテンダーの所作に厳しい注文が飛んだ。
ちなみに、HBAウイスキーランキングで表出した『竹鶴12年』『響12年』はすでに終売されている。同じく、ニッカウヰスキーが製造する『余市』『宮城峡』の貯蔵年数表示のエイジものは昨年8月末をもって終売となったので、『余市10年』『余市12年』『宮城峡15年』『宮城峡12年』は小売店頭ではもう在庫が無く、バーで残りのストックを楽しむだけとなる。(A. Horiguchi)
中略、及びつづき部分、19位以降41位までのランキングにつきましては、「ウォンズ」本誌「1月号」のモルトウイスキー特集ページをご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから
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