ミレジム・アルザス デジテイスティング 6月7日から9日まで開催! スポークスマンにインタビュー

「ミレジム・アルザス」は、2012年から2年ごとにアルザスで開催されてきた展示会だが、昨年は開催が見送られた。今年も同様の状況が続く中、アルザスワイン委員会(CIVA)は初の試みとして「デジテイスティング」の実施を決めた。ドメーヌ・ドップ オ ムーランの当主で、アルザスワイン委員会の輸出マーケティング委員長を務めるエティエンヌ=アルノー・ドップ氏に今回のプロジェクトとアルザスワインについて、インタビューした。

 

<ミレジム・アルザス デジテイスティングの狙い>

「ミレジム・アルザス」は、 2012年から隔年で行なっている展示会だが、2020年は開催できなかった。状況が好転しない様子に鑑み、CIVAのメンバーは2020年末、2021年にデジタルで行うと決めた。6か月という短期間で準備しなければならなかったが、ミニフルートと呼んでいる小瓶にサンプルを入れ配る予定にした。

「アルザスにはおよそ750軒の生産者がいますが、そのうち100軒が『デジテイスティング』に参加しています。はじめに、生産者名を記さないサンプルを招待状代わりに5000箱準備して、3500はフランス国内の、残り1500は海外28か国のソムリエ、バイヤー、ジャーナリストへ送りました。箱の中には、コードが記されたカードも入っており、CIVAのホームページへ入り参加申込ができる仕組みです」。

ホームページには、生産者の写真とともに紹介文もあり、各生産者が4銘柄セットを100箱準備した。つまり、合計で10,000箱のサンプルとなる。先着順でサンプルをオーダーできて、開催期間の6月7〜9日の3日間には、フランス時間で朝5:00から夜の23:00までオンラインでアポイントが取れるようになっている。早朝は主に日本のために、夕刻以降はアメリカ西海岸のための時間帯だ。

当初、招待用のサンプルは28か国へ送ったが、実際に参加登録があったのは50か国以上から3,500名にものぼっている。例えば、フランスから1,000名、イギリスは465名、アメリカ425名、イタリア215名、日本100名。その内訳は、74%がバイヤー(輸入元、流通、ショップ、飲食店)、18%がメディア、残り8%がワインスクールの講師や受講生など。

リアルで行われてきたミレジム・アルザスの参加者は、2018年で約700名だったから、予想以上の反響で、嬉しい驚きを感じているという。

 

<近況:気候変動や温暖化の影響、2020年の収穫>

近年は、アルザスでも気候変動や温暖化の影響があり、収穫は10年前より3週間ほど早まっているという。

「アルザスワインにとってキリッとした酸が大切ですが、酸は下がってきているのは悩みどころです。ただ、夜間に収穫したり、小粒のブドウを優先的に収穫するなどの工夫をしながら、様々なことを考慮に入れて栽培・醸造を行っています」。現在認定されている品種以外にも何か導入も考えているかと尋ねると、CIVAの技術部門や国の研究所でも検討はしていると言う。また、各生産者が独自にトライアルなども行っているようだ。

気候変動の影響による明るい側面のひとつは、「ピノ・ノワールの栽培面積が増えてきている」ことだ。

アルザスでは、現在51のグラン・クリュが認定されており、ちょうどプルミエ・クリュについても審議中だ。ブルゴーニュのようなヒエラルキーを形成できれば、との考えであと2〜3年はかかりそうだ。しかしその前に、「ピノ・ノワールのグラン・クリュ」が2021年内にも認定される予定だという(WANDS 2021年2月号ピノ・ノワール特集P15でも言及)。

また、昨年2020年の収穫状況は「天候に恵まれ、大変満足しています。夏がとても暑く雨が降らなかったので決して楽な年ではありませんでしたが、収穫は8月下旬から始めました。豊かで飲みやすいワインに仕上がりました」と言う。ちなみにここ数年では、2018年も収穫早かった。2019年は平年並みで9月6〜10日から収穫開始で収穫量も豊富だった。今年は春が少し寒い(取材した5月28日現在もドップ氏はダウンを着ていた)ので、収穫は平年並みの9月6日ぐらいではないかと見込んでいる。

 

<アルザスのオーガニック&バイオダイナミック>

アルザスのブドウ栽培家は3,800軒あり、生産者は750社だが、ここでは比較的オーガニックやバイオダイナミックが浸透している。

「フランスでバイオダイナミックの先駆者はアルザスの生産者で1969年から始めています。オーガニックも1970年代からすでに盛んです」。全体から見ると、合計15,600haのブドウ畑のうち3分の1を占める約5,000haの畑がオーガニック栽培(移行中を含む)。また、バイオダイナミックは700haに及ぶ(栽培家の数は94で、フランス全体の12%に及ぶ)。

その理由として、「もともと日常の生活で自然に配慮しエコロジーに気を遣う人が多いから」だと言う。

「花を飾る習慣もあり、果物や野菜もオーガニック栽培が多く、移動に自転車を使う人も大勢いる」。確かに、アルザスと言えば美しい街並みやコウノトリの姿など、自然と人とが共存した風景を思い浮かべる。

 

<アルザスのクレマン>

エティエンヌ=アルノー・ドップ氏が当主を務めるドメーヌ・ドップ オ ムーランは、クレマン・ダルザスの先駆者としても知られている。近年のアルザスでのクレマン生産の状況について聞いてみた。

「AOCに認定されたのは1976年です。年々生産量は増えていて、現在年間で3500万本になりました。アルザスのブドウ畑の4分の1がクレマン用ということになります」。

フランスには9つのクレマンがあり全体で7500万本生産しているため、クレマンダルザスがその35〜40%を占め、最も多いと言う。また、ドメーヌ・ドップ オ ムーランでは「私がドメーヌに入った頃には生産量の55%がクレマンでしたが、今では40%ほど。減ったのは品質をより高めたからです。銘柄は10種類あります」。

まだ、クレマンダルザスにも伸び代がありそうだ。

 

最後に、日本市場へのメッセージをもらった。

「アルザスと日本の友好関係は150年の歴史があります。アジアの中でも日本はアルザスワインが最も消費されている国のひとつです。まだ、アルザスはワイン産地の中でも小さくて隠れた存在ではありますが、継続して活動し、知名度を上げていく努力をしていきたいと思います」。

開催間近となったミレジム・アルザス デジテイスティングは、生産者との有効なコミュニケーションの場所となりそうだだ。(Y. Nagoshi)

 

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