濃厚なピノ・ノワールを生むブージィ村のRM「ジャン・ヴェッセル」

ブージィ村のレコルタン・マニピュラン「ジャン・ヴェッセル」から、当主のデルフィーヌ・ヴェッセルさんと夫のダヴィッド氏と共に、大榮産業の招聘で来日した。

 

畑は、グラン・クリュのブージィを中心に15haを所有している。ブージィといえば、有名大手をはじめとして、多くのメゾンがロゼワインを造るためにブレンド用の赤ワインを求める産地としても知られている。ジャン・ヴェッセルでも造っているが、コトー・シャンプノワとして充分スティル・ワインとして通用するほど、しっかりとしたピノ・ノワールが収穫できる村だ。

まさにブージィのピノ・ノワールらしさが華やかに表現された、いくつかの試飲した銘柄を紹介する。

ジャンVボトル

「ブリュット・グラン・クリュ・プレスティージュ2005」

ブージィのピノ・ノワール70%、シャルドネ30%。シャルドネがブレンドされていても、やはりこの地のピノ・ノワール個性が表立つ。力のある香りにはほんのりトースティーさも感じられ、厚みがありボリュームもある。

大榮産業が経営する神楽坂の「宙山」で、和食との相性も披露された

大榮産業が経営する神楽坂の「宙山」で、和食との相性も披露された

「ブリュット・ウイユ・ドゥ・ペルトリ」

「100年以上前は、ブージィの生産者はピノ・ノワールだけを栽培していた」と、デルフィーヌさん。ところが、大手の時代になるとブージィのシャンパーニュの人気が落ちたため、シャルドネを植える人も出始めた。あるいは色を薄くしてウイユ・ドゥ・ペルドリを造り始めた。その当時のマグナムが2本だけ残っていたのを見つけて飲み、感動したので、彼らも造ることにしたという。

100%ピノ・ノワールだが、ブージィだけでなくオーブ産もブレンド。「ブージィは石灰質土壌なのでエレガントなピノ・ノワールだが、オーブは岩が多いためより強くフルーティーになる。ブレンドすることで幅のある味わいにできる」。若々しくフルーティーな香りで、ふっくらなめらかな食感。豊かな味わい。

「ブリュット・ロゼ・ドゥ・セニエ」

ピノ・ノワール100%。24〜36時間マセレーションを行い、ポンピングオーバーも行い、年によってはプレスも用いる。「まずは味わいを優先させるため、色は毎年変わる」。また、セニエは1973年からで、父の代にはブレンドしていた。今回のものは2011年がベース。ラズベリーやチェリーの香りが豊かで、厚みがあり、ほんのりと収れん性も感じられる。温度が上がると少し甘味を感じる。

「ブリュット・グラン・クリュ・キュヴェ・ル・プティ・クロ2000」

壁で囲まれた特別なぶどう畑「クロ」は、シャンパーニュ地方で20か所あるという。「その中でも、ここが一番小さくて0.8haだけ」。だから、ノーマルで800本にマグナム50本だけの限定生産となる。これも、デルフィーヌさんの代から始めたキュヴェだ。

モンターニュ・ド・ランスの森のオーク材を用いた3樽だけで仕込まれる。新樽、1年樽、2年樽で、205リットルという容量は、昔からの果汁の計算がしやすい大きさになっている。発酵後5か月樽内で寝かせ、マロラクティックは行わない。樽を用いる利点はふたつあるとダヴィット氏。「ひとつは、ミクロ・オキシディジェーションを行えること。もうひとつは、寒い時期に屋外に出すことで自然に清澄され不要な成分を落とし、長期熟成に理想的となること」。力強い香りで、ナッツやトーストなど華やかで、味わいもストラクチャーがしっかりとして、飲みごたえもある。印象的なキュヴェだ。

(Y. Nagoshi)

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る