メディアを対象とした「グレイスワイン オープンカレッジ2017」が晩秋の三澤農場とミサワワイナリーで開催された。
標高700m、日本一日照時間が長いといわれる山梨県北杜市明野に三澤農場が拓かれたのは2002年。当初9haから始まった植樹は10年後の2012年には12haまで拡張され、現在、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドのボルドー系赤品種に加え、白ではシャルドネと甲州が垣根で栽培されている。
「明野は通常10月の天候は安定しているが、今年は台風が2回来て収穫期の最後に苦戦しました。しかし、摘粒をしっかり行い、量は3分の1ほどに減ったものの、納得のいくぶどうが収穫されました。カベルネの糖度は23度まで上がっています」と、栽培醸造責任者の三澤彩奈さん。留学先から戻り、2006 年に明野でのワイン造りを始めてから12年目のヴィンテージとなる。
明野の三澤農場では、2005年植樹のメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランに高畝式を導入。この方式だとぶどうの根回りの排水性が向上し、特にカベルネ・フランは房が小さく、香味に優れたぶどうが収穫されるようになった。こうした結果を踏まえて、4ha植樹されている垣根甲州にも高畝栽培を採用。この畑からは、県が行っている系統選抜のための優良穂木1系統が提供されているほか、かつて行っていた実生栽培に代わるマサルセレクションによって優良穂木の増植を進めている。
「通常は穂木だけを採り、台木を指定して苗木屋さんに接ぎ木をお願いしているのですが、今はどこも予約で手一杯。(接ぎ木を)下請けに出しているところもあるようです。それならばということで、自社でも苗木の生産に取り組んでいます」。
場所をミサワワイナリーに移して行われたテイスティングに供されたのは、すべて三澤農場のぶどうから造られたワイン。
第1フライトは、グレイスのセカンドに位置づけられるヴァラエタルワイン。
シャルドネ2016
この年は収穫期後半に台風が数多く来襲したが、早熟品種は良好な条件下で収穫された。全房で、フランス産の古樽を使い延べ9か月かけて発酵熟成。MLF100%、搾汁率55%で、フリーランだけを使用。引き締まった酸とオイリーで広がりのある味わい。エレガント。
ロゼ2016
赤は苦戦した年で、あえてセニエと直接圧搾を併用してロゼ仕立てにした。メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランをブレンドし、樽発酵・樽熟成。赤い果実とほのかなトースト香。スパイシーでピュアな酸。「ロゼとしては良い年で、複雑味とフルーティさが楽しめる」
カベルネ・フラン2015
10月以降好天に恵まれ、カベルネと甲州にとっては良い年だった。「通常はキュヴェ三澤にブレンドされているが、カベルネ・フランは個人的に好きな品種なのでセレクションが厳しい。あえてセカンドとして出したワイン」だという。
メルロ2015&2014
プティ・ヴェルドをそれぞれ13.5%、12.5%ブレンドしている。2015はまだ若く、閉じているが、引き締まったボディ、心地良い酸が。2014は色調がかなり濃く、円みをもったきめ細かなタンニン、余韻の長さが秀逸。2014年は「補糖なしで糖度24度まであがり、同時に涼しさも備わった年」だった。(M. Yoshino)
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トップ画像:高畝で栽培されているカベルネ・フラン
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