- 2019-2-13
- Wines
WANDS は1982 年11 月の創刊号発刊から本号でちょうど400 号を数える。
この間、日本のワイン市場は大きく変貌を遂げた。一人あたりのワイン消費量は山あり谷ありを繰り返しながらも、発刊当時の6倍にあたる3リットル消費を指呼のうちに捉えるまでになった。しかしこの4、5 年は一進一退を繰り返し、消費の高原状態が続いている。2018 年のワイン消費もどうやら前年割れをしたようで、2019 年もほぼ同じ状態が続くだろうと言われている。
なぜワイン消費の高原状態が続いているのか。大方の診たては、まだ伸びる可能性はあるが、ワインには依然として近づきにくい雰囲気があり新しい消費者を開拓できていない、消費の間口が広がっていない、というものだ。それがクリアできればもう一回り大きな市場が生まれる、という。はたして本当か。
昨今の酒類市場におけるワインのライバルはハイボール、チューハイ、RTDなどである。いずれも低アルコール商品だ。去年は“ ストロング” という名の高アルコール商品が人気だったというが、それでもアルコール分9%である。ワインに比べたら軟な飲みものだ。
相対的にみて高アルコール商品のワインに未来はあるのだろうか。日本人のおよそ3 分の1は、まったくアルコール飲料が飲めない。体内でアルコールを分解する酵素を持たない遺伝である。残りは大まかにみて飲める人が3 分の1、双方のハイブリッドが3 分の1である。こういう事情を勘案すると、日本人の一人当たりワイン消費量はすでに「7リットル」に到達していると言ってよいのではないか。だからこれ以上の消費量を望むのは難しい。ただ、日本には同じ醸造酒カテゴリーに清酒がある。消費の減少傾向に歯止めのかからない清酒だが、まだ消費量はワインより少し多い。この消費層をいくらか頂戴することはできるかもしれない。
とはいえ今後のワイン消費には、それほど大きな量的伸長が見込めない。だからこれからは、ワイン一本一本を大事に売ろう。いつの間にかコモディティ化してしまったワインを魅力ある利益商材に戻すべきだ。と言いたかったのだが、市場はすでに関税が無税になったという理由でEU ワインの安売り合戦に突入している。
懐古趣味との誹りを免れないが、それでも過去のあゆみを振り返ることは大事だと思う。日本のワイン市場が伸びたり縮んだりしたとき、その都度、WANDS は何を書いてきたのか。それをいままとめて紹介することで、高原状態の続くワイン市場の打開策を策定する一助になればと願う。
続きはWANDS2019年2月号をご覧ください。
2月号は「ビール、WANDS400号のあゆみ、ジョージアワイン」特集です。
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