多様性とコスパをアピールした モルドバワインの試飲会

“Wines of Moldova – a Legend Alive”と銘打ち、モルドバワインだけを一堂に会した試飲会が2月1日、ホテルオークラで開催された。この日、試飲に供されたのは輸入元8社とワイン生産者2社が手がける計21社のワイン。

モルドバ共和国は黒海の北西部に位置し、東側および北側、南側はウクライナ、西はルーマニアと国境を接している。この地でワイン造りが始まったのは紀元前3000年、ブドウ栽培の記録は紀元前7000年頃まで遡ることができる。ワイン造りは今でも国内GDPの3.2%、輸出金額の7.5%を占める重要な産業の一つと位置づけられている。

モルドバ共和国が議会共和制をとる独立国家となったのは1991年。EUの地理的表示保護制度にならい、2013年には品質制度の制定とマーケティング組織「ヴァイン・アンド・ワイン」を設立し、ワイン産業の近代化と国外プロモーション活動に努めてきた。今日、モルドバワインはEU加盟国市場を中心に63か国に輸出され、海外の国際コンクールで数々の賞を獲得するに至っている。日本向け輸出も2015年以降徐々に拡大を続け、2018年における2リットル以下の容器入りワインのモルドバからの輸入量は1万7000ケース強と前年対比37%増加した。

「モルドバは四季が明確で、秋が長くブドウがゆっくりと成熟する。黒褐色のポドゾル性土壌などのユニークな土壌がなだらかな丘陵地に広がり、延べ13万2000ha に葡萄畑が広がっている」と、この日、モルドバワインの説明を行ったモルドバ競争力プロジェクトの副責任者、ダイアナ・ラザールさん。

モルドバのワイン生産地域は現在、南西部の「ヴァルル・ルイ・トラヤン」、南東部の「シュテファン・ヴォダ」、中央部の「コドゥル」、さらにブドウ蒸留酒のための「ディヴィン」という4つの地理的表示保護制度(PGI)が制定されている。さらにユニークなのは、ブドウ畑の85%でシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ、メルロなどの国際品種が栽培されている一方で、白ブドウのフェテアスカ・アルバ、フェテアスカ・レガーラ、黒ブドウのフェテアスカ・ネアグラ、ララ・ネアグラなどの在来品種も数多く、それらの品種をブレンドすることによりアロマティックで個性的なワインを産出していることだ。

RADACINI Fiori Feteasca Alba 2017  ラダチーニは1998年創業で、自社畑は約

1000ha。イタリアのエノロゴとのコラボレーションにより、100%自社畑産ブドウを使いワイン造りを行っている。白の在来品種を使ったこのワインは、アロマティックでフレッシュ。ボディもしっかりとあり、参考上代1500円はCPが高い。カベルネ・ソーヴィニヨン100%の白ワインやメルロ100%のロゼなども造っている。

Chateau VARTELY D’or Rose マルベックとシラーを50%ずつ使用した辛口ロゼ。アメリカンチェリーのアロマと心地良い酸。オイリーなテクスチャーをもったバランスの良いワイン。1500円。

CRICOVA Blanc de Blancs 2012 ピノ・ノワール100%を使い、瓶内二次発酵で造られたスパークリング。味わいは軽めながら、フルーティ&ミネラル。フェエアスカ・アルバを使ったプロセッコタイプのスパークリング、Crisecco NVも。

 

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