石灰質土壌&冷涼気候 ニュージーランドで稀少な条件が揃うワイタキ・ヴァレーのパイオニア オスラー・ヴィンヤーズ

ピノ・ノワールの産地として知られる、ニュージーランドの南島のセントラル・オタゴは内陸に位置している。そこから東へ向かうとノース・オタゴがある。同じ「オタゴ」でありながらノース・オタゴはセントラル・オタゴと土壌も気候も随分異なる。セントラル・オタゴは内陸性気候なのに対し、ノース・オタゴは冷たい海からの影響を大きく受けており大変涼しい。海岸まで行くと、ブルー・ペンギンのコロニーが見られたり、巨大な丸石モエラキが転がっている名所があったり観光地としても人気のようだ。

 

ワイタキ Waitaki

ご存知のように、海の向こうには南極大陸があるためニュージーランドの東海岸はとりわけ冷涼だ。加えて、海から50〜60kmにあるワイタキ・ヴァレーにはニュージーランドで数少ない石灰質土壌が見られる。ジュラ紀ほど古くはなく、3000万年ほど前のオリゴシン紀の土壌だという。

 

2018年12月8日のOtago Daily Timesに、ワイタキの地理的表示が正式に認可された記事が掲載されている。オスラーの畑の画像もあり、ここの地理的表示認可にオスラーのジム・ジェラムが貢献したことも記されている。

 

今年5月に来日したオーナーのジム・ジェラムは、1852年にイギリスのヨークシャーから移住してきたウィリアム・オスラーの曾孫に当たる。ジムと義理の弟で醸造家のジェフ・シノットは、1998年にこの地でブドウ栽培を始めた。今でもワイタキの生産者は20に満たないというが、彼らがまさにパイオニアであった。

栽培しているブドウ品種は、ピノ・ノワール、リースリング、ピノ・グリ、そして少量のゲヴュルツトラミネール。シャルドネには興味がないのかと尋ねると、こう説明した。

「もちろんシャルドネも考えた。ただ当時ニュージーランドに入ってきていたシャルドネの苗木は、ここでは実らなかったんだ」。今では入手可能なクローンの種類も増えている。そして近隣に粘土質も含む土壌が見つかったので、そこにピノ・ノワールとシャルドネを植えようかと考えているようだ。

 

とても冷涼な気候にあるため、ここでは丘の斜面を選んで植樹している。

「植樹を始めるときに、シャンボール・ミュジニーのようなワインをモデルに考えていた。だから、そう喩えてくれる人が多くて嬉しい」。

ちょうど「ノース・オタゴ キャロラインズ ピノ・ノワール」の2016年、2015年がヴィンテージ違いで試飲できた。前者が凝縮しているのに対し、後者はエレガントだった。温暖な年と冷涼な年との違いが明確に現れており、ジム・ジェラムは2015年の方が「らしさ」があると感じている。

「2016年のピノ・ノワールは、松ぼっくりぐらいの小さな房が実り熟度も完璧だったので、20%全房発酵した。それまでも5%ほどは試みてはいたが。反対に2015年はクリーンな年で、糖度も低めだったのでアルコール度数は13%(2016年は14.2%)でエレガントなスタイルになった」。

 

ワイタキには、ニュージーランドの最高峰で3,500mもの高さを誇るマウント・クックの氷河から溶け出た水が流れてきている。マオリはこの山を「アオラキ」と呼んでいるそうだ。「天に刺さる剣」といった意味だという。「アオラキの涙」からの恵みを受けたワイタキでブドウ栽培を行うオスラーのチームには、500頭の仔羊もいる。「ヴェレゾンの2週間ほど前から仕事をしてもらう。除草だけでなく除葉もしてくれる。ブドウの実を食べてしまう心配ものない。まだ甘くないし、仔羊には届かないからちょうどいい」と、仔羊たちの仕事ぶりを撮影した写真を見せてくれた。

自然の只中で育まれたブドウの純粋さ、そして冷涼な気候と石灰質土壌に由来するエレガンスを一口ごとに楽しめるワインだ。

 

2016 North Otago Lakeside Riesling

青リンゴ系の清々しい香りで温度が低くても香り立つ。ほんのりと果実の甘みが感じられ、酸はとてもフレッシュ。なめらかな食感が心地よい。

2015 North Otago Audrey’s Pinot Gris

ピノ・グリは、80%がフリーランで、残りの20%はゆっくりとした圧搾中に少々スキンコンタクトが行われ芳香成分を取り込み、600ℓの樽で発酵させる。熟した柑橘類の香りがとても華やかで、オイリーさも感じられる。ほのかな果実の甘みがあり、厚みがあり、とても豊か。同じ銘柄の2013年は、同様に香りが華やかで、味わいに落ち着きが出てきており今ちょうど美味しく飲める。

2017 North Otago Waitaki Pinot Noir

フレッシュな赤い小さな果実のチャーミングな香り。しなやかな口当たりで酸がとても綺麗。タンニンは細やかでそれほど目立たない。

畑には貝殻の化石が多く見られるため、ラベルのデザインにも採用した

2015 North Otago Caroline’s Pinot Noir

よりしなやかな香りと味わい。フレッシュな赤い果実の香りがエレガントで生き生きとしている。味わいもしっとりとして、細やかなタンニンは果実と融合し、細く長い味わい。

(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

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