ワインの酒税増税反対に向け 広報・啓発活動を継続展開 洋酒輸入協会松沢理事長挨拶

日本洋酒輸入協会は5月14日に第112回定期総会を開催し、前年度の事業報告・収支決算報告および本年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)の事業計画案・収支予算案を原案どおり承認した。また、任期満了に伴う役員改選では新役員16社を選出し、互選により、理事長・明治屋(松沢幸一社長)、副理事長・キリンビールおよびMHD モエ ヘネシー ディジオの再任を決めた。

同協会は酒類の輸入自由化に先立つ1959年4月、輸入洋酒の更なる普及と需要拡大を目的に設立され、今年でちょうど60周年の節目の年を迎えた。松沢理事長は挨拶のなかで、現在の市場環境と協会が取り組むべき課題について、要旨次のように語った。

「最近もっとも懸念されるのは米中貿易摩擦の行方であり、内閣府発表の景気動向指数の基調判断が6年2か月ぶりに『悪化』に引き下げられた。米中交渉の行方ははっきりせず、先行き不安定な状況がつづくだろう。また、国内では7月の国政選挙や10月の消費税増税などが予定され、経済や消費者マインドへのインパクトも大きいので注視していく必要がある。明るい材料としては9月のラグビーW杯による訪日外国人の増加、外国人労働人材の受入拡大などが新たな商機に繋がるとの期待もある。

昨年一年間の輸入洋酒市場を振り返ると、スパークリングワインは金額ベースで11.9% 増ながら、数量ベースでは9年振りに0.7%減とマイナスに転じた。また、2ℓ以下のスティルワインは数量で7.2%減、金額でも1.5%減。一方、ウイスキーは数量で22.7%増、金額で16.8%増と、国内原酒不足を反映して極めて好調に推移している。

2月1日から日EU間EPAが発効した。昨年のワイン輸入量のうちEU産のシェアは57.0%を占め、750ml換算で約50~94円課されていた関税が即時撤廃されたことによる消費拡大効果は非常に大きい。EU側も日本市場への輸出拡大に対する期待が大きいと思われる。

人口減少・高齢化が一層進むなかで酒類全体の需要は低迷傾向にある。為替変動の影響を受けやすい洋酒輸入業界の経営環境は依然として厳しい状況が続いているが、本年度は次の5つの課題に取り組んでいく。

①来年10月に第一段階となるワインの酒税増税が予定されているが、税率見直しには景気条項が設けられていることから、ワイン輸入数量の激減に繋がらないよう広報・啓発活動を引き続き展開する。

②食品表示法における食品表示基準の経過処置期間が来年3月には満了となる。これにあわせて、輸入ウイスキーおよび輸入ビールに関する公正競争規約の改正を進める。

③ロット番号が削除等された輸入酒類の流通が後を絶たない。国税庁に対し昨年6月22 日に法的規制の導入を求める要望書を提出しているが、この要望実現にむけて積極的な活動を展開する。

④社会的要請への対応については、従来にもまして、不適切な飲酒の誘引を防止するよう努める。

⑤講習会の開催や有益かつタイムリーな情報提供など、協会活動の活性化、会員利便の向上に努める」。

WANDS 2019年6月号をご覧ください。
6月号は「夏のスパークリングワイン」「ビール」「チリワイン」特集です。
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