- 2015-12-3
- Wines, フランス France, ブルゴーニュ Bourgogne
100種類ものワインを試飲できる「2015 秋の試飲会」が、10月半ばにラック・コーポレーションによって開催された。中でも看板のブルゴーニュは、2013年ヴィンテージがほぼ出揃っていた。また、2013年の特徴を確認するため、後日フェヴレの当主エルワン・フェヴレへいくつかの質問を送り、答えてもらった。
<総観>
2013年のブルゴーニュを、30アイテム、赤25アイテムほど試飲した。どちらもきれいな酸が印象的でエレガントで、クラシックなヴィンテージなのだろうと感じられた。ただ、白は果実のニュアンスが心地よく既に美味しく飲み始められるものが多かった。それに対し、赤はまだ堅さがみられるためゆっくり待っているほうがよさそうだ、という感想だ。
時折、同じアイテムで過去のヴィンテージと並行して試飲できる、という銘柄も見つけられた。
例えば、アルベール・モロの「ボーヌ・プルミエ・クリュ・エグロ・ブラン」は、ハツラツとしてネクターのような2012年、花とトロピカルフルーツの妖艶な香りの2010年、ナッツやトーストなど豪華な熟成香に移行中の2005年。ラ・プス・ドールの「ヴォルネイ・プルミエ・クリュ クロ・ド・ラ・プス・ドール」は、ふわりと立ちのぼる香りと緊張感も感じられるバランスよい味わいの2013年、よりボディがありソフトなタッチの2012年、ゆったりとしてやわらかな2011年。
飲み頃、売り時を考えるのにとてもよい参考になる。
<フェヴレへの質問>
Q: ある人から、2013年は収穫直後にはそれほど期待していなかったが、1年経つと素晴らしいとわかり驚いた、と聞きましたが、ブルゴーニュ全体をご存知のフェヴレでは、どのような印象でしょうか?
A: フェヴレでは、はじめから素晴らしい出来だと確信していました。葡萄の成熟がとてもゆっくり進み、しかも健康状態がよく、粒は中ぐらいの大きさで味わいがとてもよかった。
Q: ラック・コーポレーションの試飲会に参加して、2013年はクラシックなヴィンテージだ、という印象を受けました。
A: 寒くて成長の進行が遅かったのですが、フェノールがうまく熟し豊かさが得られました。そして、それぞれのアペレーションの特徴や違いが出た、テロワールが豊かに表現されたヴィンテージです。
Q: 白は既に美味しく飲み始められるものが多かったという印象です。特にムルソーやシャサーニュ・モンラッシェはもともと豊かさがあるので、よりまろやかさとフレッシュな酸のバランスが際立ったのかと。
A: 2013年の白の成功の鍵は、早めの収穫でした。それによってミネラルのストラクチャーとフレッシュさが得られ、更に魅力的なフローラルな香りが備わり、素晴らしい出来となりました。
Q: 赤の場合には、高めの酸がありまだ堅いため、柔らかくなるまでもう何年か待つ方がよさそうなものが多かったと感じました。
A: 赤は、今の若々しいフルーティーなアロマを楽しむこともできますが、2年以内に一度閉じるでしょう。果実風味が徐々に消え、酸が高くなります。そうすると、本当に何年か待たなくてはなりません。もう一度開くまでに、おそらく5年はかかるのではないでしょうか。つまり、素晴らしい熟成可能性を備えているということです。
Q: 過去のヴィンテージでいえば、何年に似ているでしょうか?
A: 2013年は収穫時期が遅く、素晴らしいフレッシュさと高い酸が特徴です。ですから、2008年と比較できるかもしれません。ただし、より凝縮しています。
Q: では最後に、もう一度2013年のブルゴーニュについての総括と、どこか特に注目に値する村がありましたら教えてください。
A: 2013年は、実にピュアで精密で、そして少しシリアスさも感じられるヴィンテージです。どの村もそれぞれの特徴がよく出ているので大変面白いですが、特にジュヴレ・シャンベルタンがいいですね。
2013年の冬は、温かく湿度が高かったのですが、芽吹きはとても遅くて5月初めでした。春、特に5月は寒くて雨が多かったのです。開花が始まったのは、6月半ばから7月初め。7月23日にコート・ド・ボーヌで雹に見舞われ、嵐のような天候もあったのですが、7月と8月は、驚くほど温かく感想していたので、葡萄の成熟に卓越した条件が揃いました。
2013年の収穫は、フェヴレでは9月26日に始めて10月9日までかかりました。赤も白も健全な状態でした。ただ、開花時期がとても長かったため成熟レベルにも差が生じたのです。ですから、品質の高い葡萄だけを醸造し、熟度が低いものは排除しました。その結果、収穫量は35〜39hl/haとなり、平年の10〜15%減でした。
また、2013年はグルメ・ヴィンテージという言い方もできます。とてもフレッシュでバランスがよいからです。ふんだんな果実のアロマがあり、本当にきれいな酸と活力が感じられ、タンニンもベルベットのようです。もし、クリスピーな果実感を楽しむのなら、まず今の若い段階で味わってみることをお薦めします。
(Y. Nagoshi)
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