日本ワインコンクール2018 結果発表

関心の高まりを反映しワイナリー、出品点数ともに再び増加
受賞県もさらに広がりを見せる

国産ブドウ100%からつくられる日本ワインのコンクール「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2018」の審査会が7月17、18の両日、4名の外国審査員を含む25人の審査員によって行われ、このほど受賞結果が発表された。

16回目となる今年は、昨年と同様に、全ての出品ワインについてより精度の高い審査をおこなうため一次審査を廃し本審査だけを行った。エントリーしたのは24道府県の104ワイナリーから787点。出品ワイナリー数は前回比5増、出品点数も61点増となった。数年前からエントリーフィーの引き上げやワイナリーごとの出品点数に制限を設けるなどの条件が厳しくなっており、ここ数年間はエントリー数が減る傾向にあったが、今回は再び増加を示した。

奥田徹実行委員会会長(山梨大学ワイン科学研究センター長)によると、「全国のワイナリー数は伸び続けている。すでに日本ワインコンクールは各ワイナリーにとって目標のひとつになっており、今後も出品ワイナリーや出品点数はどんどん増えていくだろう」という。

審査の結果、全出品点数の42%にあたる328点、全出品ワイナリーの77%に当たる80ワイナリーが金賞から奨励賞までの各賞を受賞した。内訳は、金賞が22点(前回26)、銀賞88(76)、銅賞189(186)、奨励賞29(27)。

金賞受賞ワインは下表のとおりで、国内改良等品種・白、北米系等品種・赤および白、欧州・国内改良品種等ブレンド・赤および白、極甘口からの金賞受賞は無かった。

金賞受賞ワインの醸造地県別受賞数をみると山梨の11点が断トツながら、長野と山形が3点、北海道、埼玉、石川、広島、大分が各1点と全国各地へ広がりを見せている。また、醸造地山梨県のワインのなかには他県のブドウを使ったものが含まれており、ブドウ産地における新規ワイナリー設立に伴い、来年以降は県別受賞点数の勢力図に変化が出てくる可能性がある。

下表掲載以外で銀賞およびコストパフォーマンス賞をダブル受賞したワインは、グランポレール北海道ツヴァイゲルトレーベ(サッポロビール 岡山ワイナリー)、NAC ピノ・ブラン2017(長野・井筒ワイン)、綾ワイン デラウエア( 宮崎・雲海酒造綾ワイナリー)、スパークリング マスカット・ベーリーA ロゼ(山形・朝日町ワイン)。

 

以下、各部門別の審査結果について、後藤奈美審査委員長(独立行政法人酒類総合研究所理事長)は次の様に講評した。

スパークリング 全57点の出品ワインの中から、甲州を原料とした瓶内二次発酵のワインが金賞を受賞。香味のバランスが良いとの評価だった。瓶内二次発酵のロゼ数点のなかでは、マスカット・ベーリーAを使ったものに比較的高い評価が集まった。瓶内二次発酵以外のものの中からも泡立ちや香味に良いものがあり、今後に期待される。

甲州 昨年より10点多い136点が出品され、5点が金賞を受賞。部門最高賞を受賞したワインは樽発酵を行ったもので、甲州のフルーティさと厚みのある味わい、良質な樽の香味との調和が評価された。甲州にはいろいろなタイプがあるが、品種の特長を活かし、味わいのバランスがとれ、香りの良いものが金賞に選ばれた。また、甲州は山梨が主産地だが、山形からは金賞、島根からも銀賞ワインがあり、より広い産地から高品質な甲州が造られる可能性を実証した。一方、甲州甘口は出品点数が少ない。甲州は日本を代表する品種であり、今後も高品質ワインの安定した生産に期待したい。

海外審査員のひとりで英国のワインジャーナリスト、ニール・ベケット氏は、「(日本における)最近の栽培・醸造技術の向上から高い期待を抱いていたが、試飲した印象は全体の品質、トップワインの驚くべき品質、樽を使ったワインの水準の高さ、スタイルの幅広さにおいて当初の期待を上回るものだった。これまで、甲州はアイデンティティの確立を模索していてそのスタイルは限られていると考えてきたが、良い意味でそうではなかったと驚いている」と語っている。

 

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