ピノとリースリング 長期熟成プログラムを実践する NZワイパラ・ヴァレーのペガサス・ベイ

ニュージーランド南島、クライストチャーチから北に60Kmのところに位置するワイパラ・ヴァレーは、いま、ピノ・ノワールとリースリングで注目を集める新興ワイン産地だ。2013年の統計によると、この地域の葡萄総栽培面積は1454ha、総生産量は8300トンで、ニュージーランド全体に占める生産量割合はわずか2.4%。小さなワイン産地だ。しかし、デヴィオットデール・ヒルズと呼ばれる丘陵地が太平洋岸から吹きつける冷風を遮り、平均気温は南のカンタベリー・プレイン一帯より2℃ほど温暖。また、乾燥した秋の気候が長いハングタイムをもたらし、複雑な風味を持った葡萄を育んでいる。年間降雨量は約400mmと、NZでも一番少ない。土壌は礫質堆積物と堆積粘土質が混じったもので、東側の丘陵地の斜面には石灰岩質も存在する。排水性に優れ、昼間に暖められた礫が夜間に放熱し、過度な寒さから葡萄を守ってくれるのが特徴だ。

マーケティング・マネージャーのエドワード・ドナルドソン

この地に初めて醸造用葡萄を植えたのがペガサス・ベイで、1985年のことだった。元々は神経科の医者だったイヴァン・ドナルドソン氏が休暇で訪れたドイツやブルゴーニュでワインづくりに興味を抱いたのがそもそもの始まりだったという。現在は夫妻に加えて、長男のマットとその夫人がワインメーカー、次兄のエドワードがマーケティング、弟のポールがビジネス全般、そしてエドワードの妻がNZ屈指といわれるレストラン経営を担当している家族経営ワイナリーだ。

「自社畑は120エーカー(50ha弱)で、10年前からこれが適正サイズ、マックスだと決めている。畑の半分は自根で栽培している」と、エドワード。

ペガサス・ベイがつくるワインには3つのティアがある。100%自社畑の葡萄から造られる「ペガサス・ベイ」はスタンダード・ヴァラエタルとリザーヴレンジの二つ。このリザーヴレンジのワインは良い年だけに造られ、すべて、母親クリスティーネが永年愛好しているオペラ関連の名前が付いている。一方、セカンドワイン的存在の「メイン・ディヴァイデッド」は基本的に南島各地の契約栽培農家から買い付けた葡萄から造られているが、ピノ・ノワールとリースリングはワイパラ・ヴァレー産の葡萄だけを使用。

この日、ランチセミナーで供されたのは新旧2ヴィンテージごとのリースリング、シャルドネ、ピノ・ノワール。

Bel Canto Dry Riesling とてもリッチで凝縮感に富んだ味わいで、2014、2018ともに残糖は7~8%の辛口。リースリングは他の品種よりも遅く、例年5~6月(時には7月初旬)に6~7回に分けて収穫。辛口のベルカントは良い年だけに造られ、30%ほど貴腐菌がついてシワシワとなった状態の葡萄を、古樽を使い自然酵母で発酵。「ワイパラのリースリングはスパイシーで、マンダリンオレンジの風味が特徴だ」という。(M. Yoshino)

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