オレゴン産ピノ&シャルドネ エレガンスを追究する Evening Land

サシ・ムーアマン氏

「オレゴンではジョリーをはじめとして4つの異なるタイプの土壌があるが、基本的に火山性。ブドウ栽培においてはむしろ畑が位置する標高と斜面の向きが重要だ」と、サシ・ムーアマンは語る。

オレゴンでは標高100m以上だと風が強く冷涼で、ピュアな火山性土壌となるが、標高が低ければ沖積土壌となり気温も高い。また、地球温暖化の影響もあって、オレゴンの気温は夕方6時頃が一番暑い。畑が西向き斜面なら熱い西日を遅くまで受けすぎることになる。こうした条件を考慮すると、標高100~210mの高所にあり、東向き斜面をもつセブン・スプリングス・ヴィンヤードこそがブドウ栽培にとって最適で、エレガントなワインを産出できるのだという。

イヴニング・ランドが100%所有するセブン・スプリングス・ヴィンヤードは、アル・マクドナルドによって1984年に植樹され、エオラ・アミティ・ヒルズの草分け的存在。オレゴン屈指のこの畑は2005年にイヴニング・ランドが購入し、ドミニク・ラフォンもコンサルティング・ワインメーカーを務めることで注目を集めてきたが、2014年からは、サンタ・リタ・ヒルズで「ドメーヌ・ド・ラ・コート」を運営するラジャ・パー、サシ・ムーアマン両氏が新しいオーナーに。2015年からは栽培チームも一新され、ビオディナミとオーガニックをほぼ半々で実践している。

セブン・スプリングス・ヴィンヤード28haの畑ではピノ・ノワールを主体に、シャルドネ、ガメイなどを植栽。一部は自根で栽培されている。

「オレゴンはクールクライメットと言われるが、夏はとても暑い。ブルゴーニュと比べて開花は30日ほど遅く、収穫は逆に早い。開花から収穫まで通常の100日まで待つと、アルコール度数は14度以上になるのに、シラーやカベルネ、メルロなどタンニン成分の多い品種は種の熟成が追いつかない。酸を高く保ちつつ、エネルギーのテンションが高くフレッシュな味わいのワインをつくるにはピノ・ノワールのような早熟品種、特にシャルドネが適している」。

輸入元ワインインスタイルが主催したプレス向け試飲セミナーでは、サシがつくる2014、15ヴィンテージのピノ・ノワールとシャルドネのエステートワインが比較試飲に供された。2015産ワインは月中旬に入荷予定。

PINOT NOIR  14 年、15 年ともに暖かい年で、収穫は8月にスタートした。自然酵母を使った発酵はなるべく手を加えないようにしているが、本格的な収穫日の5~7日前に少量のブドウを小さなキュヴェで発酵させ、その発酵液を本来の発酵槽に戻す“ ピエ・ド・キュヴェ”を採用。14年は100%除梗、15年は30~40%ほどを全房発酵。パンチングダウンは行わず、1日1回ルモンタージュ。醸しの期間は10日を超えないようにしている。

14年、15年ともにアルコール度数はほぼ13%。赤い果実の風味が豊かで、フレッシュな酸、余韻の長さが特長。エレガントで、今飲んでも美味しい。

(以下略)
※サシ・ムーアマン氏。アメリカ人の父と日本人の母を持つ。カリフォルニア生まれだが、2~5歳の時には日本で過ごした。大学では地理を専攻したが、在学中にワインに興味を持ち、ニューヨークでコックに。その後オーハイでワインづくりを学び、畑と作り手としての精神性の大事さを知ったという

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