シャトー・レイノン Château Reynon ドゥニ・デュブルデユの遺産をもとにボルドー白ワインの方向を指し示す

“白ワインの法王” と言われ、ワインの醸造現場に大きな影響を与えたボルドー大学醸造学部教授ドゥニ・デュブルデユが昨年7 月26 日、脳腫瘍のため67 才で亡くなった。モンペリエ大学を経て、ボルドー大学で研究生活を始めたドゥニ・デュブルデユは酵母、アロマ、コロイドなど様々な分野で業績を上げ、特に「カベルネに含まれる青ピーマンのアロマの由来」に関する論文で名声を得た。

 

研究生活の傍ら、デュブルデユは父親から引き継いだバルサックのグランクリュ、シャトー・ドワジ・デンヌを自ら醸造し、「純粋で欠陥がなくテロワールを特定できる長期熟成可能なワイン」を自らのヴィジョンとして掲げた。

 

さらに、100 を超す世界のドメーヌのコンサルティングをこなすとともに、ワインビジネスにも積極的関わり、シャトー・ドワジ・デンヌ、シャトー・レイノン、クロ・フロリデンヌ、さらに2000 年以降に加えたシャトー・カントグリル(AOC バルサック、17.5ha)、シャトー・オーラ(AOC グラーヴ赤、AOC セロンス、12ha)を合わせ、合計135ha をドゥニ・デュブルデユ・ドメーヌとして統合し、夫人と二人の息子、ファブリス、ジャン・ジャックとともに管理してきた。

 

全生産量50 ~ 60 万本で、シャトー・レイノン、クロ・フロリデンヌ、シャトー・ドワジ・デンヌで生産する辛口白ワインが約5 割。甘口白ワインを含めると赤より白の割合が多くなる。

「父はソーヴィニョンに関する研究に長年拘ってきました。また、シャトー・ディケムが辛口白ワインY(イグレック)を出す8 年前に、私の祖父が1948 年にバルサックのシャトー・ドワジ・デンヌで辛口ワインを作り始めました。バルサック・ソーテルヌで辛口を作り始めたパイオニアで、私の祖父がアレクサンドル・リュル・サリュスにアドバイスして辛口白ワインY が生まれたのです」

生産を担当するジャン・ジャックは白の生産に拘る理由についてこう語る。

 

シャトー・レイノン白2016 AOC ボルドー

1976 年にドゥニ・デュブルデユの夫人のフロランスが父親から相続したシャトーで、赤20.5ha、白12.8ha。白はソーヴィニョンが主だがほんの僅かソーヴィニョン・グリとソーヴィニョン・ローズが混じっている。圧搾後、半分をステンレスタンクで、残り半分を85hl、58hl の木桶で発酵、熟成させる。それによって、ソーヴィニョンのちょっと野性的で鋭い面が消え、少し丸みを感じさせ、構造と内容を得ることが出来る。熟成5 か月。バトナージュを行い、かなり早い時期に瓶詰めする。小売価格は9 ユーロだが、その味わいは一般のAOC ボルドーの水準を超えていて、はっきりとした個性が感じられる。特にピュアで長い後口が印象的。(T.Matsuura)

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