うなぎの蒲焼きと合わせたい赤ワイン DOウティエル・レケーナのボバル!

うなぎの蒲焼を食べたい季節! もちろん、そのまま食べても美味しいでしょうが、赤ワイン、スペインのDOウティエル・レケーナのボバルをお供にしてはいかが?

 

スペインのDOウティエル・レケーナは、パエリアやオレンジで知られるバレンシア地方の内陸にあるワイン産地。ボバルは、近年注目の在来品種で、今春「ボバル大使」に任命されたスペインワインのエキスパートでソムリエの菊池貴行さんは、「ボバルは食事に合わせて飲むワイン」だと言う。

 

ソムリエの菊池貴行氏。今春から三重県湯の山「癒し」と「食」をテーマにした総合温泉リゾート施設VISONがオープンし、その中で美食の地バスク地方の有名店が3店集合した「アクアイグニス」の支配人兼シェフソムリエとして勤務している。

ソムリエの菊池貴行氏は、2004年以降「サンパウ」に勤務している時代からボバルに注目していた。ワインリストにも常に載せ、スペイン在来品種のトレンドが、テンプラニーリョ、そしてメンシア、ガルナッチャと来る中、そろそろボバルの出番では? と何年も期待していた。2000年頃から料理でモダン・スパニッシュの流れが生まれて以来、ようやくボバルにもスポットが当たってきたのをとても喜んでいたという。

 

 

2700年のワイン造りの歴史があるDOウティエル・レケーナ(こちらの記事もご参照)。

 

樹齢40年以上の古木が多く、中には100年以上のものもありながら、なかなか日の目を見ることがなかったボバル。近年は、スペイン料理も軽やかになってきたこともあり、若い世代の味覚に合わせてエレガントなボバルが増えてきている。

 

ボバルは赤ワインなので自ずと肉類と合わせたくなるが、現地では魚でも赤ワインと合わせることが多いようだ。「凝縮感、スパイス感」がボバルの特徴で、香りもスミレ、赤い果実、メントール、スパイスなどが共通して感じられる。菊池氏の経験から「春野菜とボバル」、「根菜とボバル」も相性が良いが、スパイシーさと凝縮感があるため「うなぎの蒲焼とボバル」が夏場の一推しだと言う。

是非、この夏に試してみていただきたい。

 

菊池氏とともに味見をしたボバルを紹介する。

銘柄名 収穫年<生産者> (輸入元)希望小売価格 (写真左から)

ラス ドセス・ティント2018<チョサス・カラスカル>(ミリオン商事)2,000円

Las 2 Ces Tinto 2018 <Chozas Carrascal>

自社畑の80%にあたる32haがビノ・デ・パゴに認定され、ボバルの50%は樹齢100年超。ボバルらしいスミレ、メントール、スパイスの香り、しっとりとして上品な味わい、しなやかなタンニンが印象的。とても綺麗な造りで、ハツラツとし、アプローチしやすい味わい。

 

パシオン デ ボバル2017<ボデガ・シエラ・ノルテ>(スコルニ・ワイン)2,900円

Pasión de Bobal 2017 <Bodega Sierra Norte>

ボバルへの「パシオン(情熱)」を込めたワインで、ラベルにはハートの木が描かれている。こちらは色が濃く香りも力強い。トースト、スパイス、凝縮した果実が香り、丸みもあるがタンニンもしっかり。肉類と合わせるとタンニンが途端にまろやかになる。

 

ボバルは野菜とも合う。

ヴィリャ・デ・アドノス・ボバル・ティント2018 <コヴィーニャス> (サス)1,800円

Villa de Adnos Bobal Tinto 2018 <Coviñas>

DOウティエル・レケーナのホセ・ミゲル・メディナ・ペドロン会長がオーナーの、この地で最大のワイナリー。ボバル愛の詰まったボデガで、この地のボバルの40%の畑を所有。赤い果実、スパイス、スミレ、メンソールなどのしっとりとした香りで、清涼感ある味わい。

 

テンペラメント2016 <ボデガ・シエラ・ノルテ>(ユニオンリカーズ)2,600円

Temperamento 2016 <Bodega Sierra Norte>

このキュヴェは、樹齢60年以上のボバルだけで、フレンチオークで半年以上熟成させた上級品。ベリー系の香りが豊かで、バニラや白いスパイスも加わる。ソフトなアタックで、酸とタンニンが味わいを引き締め、長期熟成可能なしっかりとした味わい。

 

ボバルは魚とも好相性。

タルシスシティ ボバル2018<パゴ・デ・タルシス> (ノルレェイク・インターナショナル)1,200円

Tharsys City Bobal <Pago de Tharsys>

ボバルからカバも醸造しているワイナリー。ここの醸造家は「ボバルは純血種の馬のよう。飼いならすのは大変だが、できればとても豊かなワインになる」と言う。これは、熟れたチェリーやベリー、バニラのソフトな香りで、フレッシュでアプローチしやすい味わい。

 

ボバル2015<フィンカ・サン・ブラス>(ウミネコ醸造) 3,500円

Finca San Blas2015 <Finca San Blas>

栽培・醸造責任者のニコラス・サンチェス・ディアナ氏は、権威あるレケーナ醸造学校で教鞭を執っている人物で、ラウル・ペレス氏も教え子の一人。このボバルは黒い果実のコンポートやスパイスが香り、凝縮感があり酸もタンニンもしっかりし、炭火焼などに合わせたい。

 

もちろん肉料理とも。

カブラシア・ボバル クリアンサ・アンフォラ2015<ボデガス・ヴェガルファーロ>(パナバック)2,600円

Caprrasia Bobal Crianza Anfora 2015 <Bodegas Vagalfaro>

3代目当主のロドルフォ・ヴァリエンテ氏は、2017年バレンシア・ベスト・ワインメーカーに選ばれた。この銘柄は、14か月の小樽熟成ののちに、5か月150ℓのアンフォラで熟成。スミレやスパイス、赤い果実のエレガントな香りと食感の心地よさが魅力。

 

ボバル・デ・エステナス2019 <ヴェラ・デ・エステナス>(サス)3,200円

Bobal de Estenas 2019<Vera de Estenas>

現当主のフェリックス・マルティネス氏は、ボバルをファインワインの舞台に乗せるのに尽力した人物。この銘柄は樹齢80年のボバルを使用し、ピュアなボバルを表現している。若々しいスミレや果実の香りが綺麗で、生き生きとした酸、しなやかなタンニンが印象的。

(Y. Nagoshi)

今年の夏は、うなぎとボバル!

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