カタルーニャ生まれ やさしい甘さ バック・エクストリシモ

スペインでいちばん売れている高品質の白ワインが日本にやってくる。バック・エクストリシモ・セミ・ドゥルセだ。

 

このワインは、スペイン国内はもとよりアメリカ、カナダの北米市場、ベルギー、ドイツの欧州市場で大いに人気を呼んでいる。“ドリンク・イット・コールド(冷たくして気軽に楽しもう)”という飲み方の提案が、若い世代の消費者に受け容れられた。さわやかでやさしい甘さを求めるのは、このところの世界的傾向のようだ。

 

バック・エクストリシモ・セミ・ドゥルセの造り手はカタルーニャのコドルニウで、彼らは和食の世界的な広がりや日本人の好みを細かく調べたうえで、白ワインだけでなく赤ワインとカバのセミ・ドゥルセもいっしょに日本市場に紹介すると決めた。和食や日本人の嗜好の基調に“ほのかな甘さ”があると判断したからだ。

 

バック・エクストリシモ・カバの醸造責任者ブルーノ・コロメールは、「ワインの味わいにほのかな甘さを表現するには、きれいな酸味をもった品質の高いブドウを収穫する必要がある。それは欠くことのできない前提条件だ」という。そしてカバは、白ワインと同じ穏やかな地中海性気候のペネデスで育ったマカベオ、チャレッロ、パレリャーダで造ることにし、赤ワインにはカタルーニャの内陸部ライマットのブドウを使うことに決めた。

 

バック・エクストリシモ・セミ・ドゥルセを造るエリザベート・フィゲラス

バック・エクストリシモ・セミ・ドゥルセを造るエリザベート・フィゲラス

ライマットはカタルーニャ最西端にある村、すぐ隣はアラゴンだ。バルセロナからライマットへと向かう道には松などの常緑樹が多いので、1月でも車窓からの景色に寒々しさはない。空気が澄んでいるせいか青い空にいく筋もの飛行機雲が伸びている。ピレネーに程近いライマットはやさしい緑に覆われていて、そこが“グリーン・スペイン”の入口だと教えてくれる。

 

朝のテレビがガリシアからアストゥリアスの海沿いを低気圧が移動するため太西洋側のビスケー湾沿いは大雪になるだろうと報じていた。しかし地中海側のライマットは

穏やかな冬晴れに恵まれた。越後は大雪だけれど山を越えた上州は乾燥した晴れという日本の冬の天気に似ている。

 

いまから100年以上前の1914年、ペネデスのコドルニウはライマット村に3,200haの土地を購入し、ここに広大なブドウ畑を拓いた。その1年あとの1915年、繊維貿易で財を成したペレとラモンのバック兄弟はペネデスのマシア(大きな邸宅)を購入した。ブドウ畑を拓き醸造設備を整え、1918年に「BACH」の名前でワインを造った。以来、ブドウ畑を買い増して365haに広げたが、戦乱で商売が不調をきたし1942年にこのマシアと商標を手放した。

 

この領地は数人の手を経て1975年にコドルニウのラベントス家が所有することになり、バック兄弟の築いた品質と信用が蘇る。商標の「エクストリシモ」は、1918年の新発売以来、バックの最高品質ワインのラベルに使われている。エクストリシモはエジプトやインドの綿布の特級格付けで、繊維業のバック兄弟はワインにもこれを援用したのだった。(K. B.)

つづく/これ以降の内容につきましては、「ウォンズ」本誌「2月号」P.30〜31をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから

画像:バック・エクストリシモ・セミ・ドゥルセ

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